おとめ座

おとめ座というと、なんだかふんわりしたやさしいイメ
ージで名前だけでも知っているかたが多いと思います。
今週ですと、7時から8時ころ真南の空高く昇っている
のでごらん下さい。一等星のスピカだけが明るくてあ
とは暗い星ばかりなので星座の形は分かりやすくはありません。

(図:7時から8時ころ真南の高度45度くらいの高さにおとめ座が昇っています。
(Astro Arts Inc. ステラーナビゲータで作成)

古代メソポタミアではおとめ座は「麦の穂」とよばれ、
スピカはラテン語で「麦の穂」と言う意味です。おとめ
座は穀物の成育をつかさどる大地の母「デメテル」であるとす
る神話があります。デメテルが悲しむと大地はやせ衰え、
一粒の実も稔らず人々は飢えに苦しむことになります。

デメテルには美しい娘ペルセポネがいますが、こともあ
ろうに冥界(死後の世界)の王ハデスに見初められ、冥界に連れ去られ
ます。お母さんのデメテルは娘を探してさまよい歩きますが、
悲しみのあまりやせ衰えていきます。このため大地は麦を
稔らせること無く、人々はこまりはてます。

大神ゼウスはペルセポネを返すようにハデスにうながし
ます。ハデスはそれに従うかに見えましたが、地上に帰
れると有頂天になったペルセポネにこっそりとザクロの
みを食べさせます。これは大変な事です。むかしから冥
界のものを食べた者はけっして地上には帰ることができ
ないと信じられていましたから。結局、大神ゼウスのはか
らいで、ペルセポネは一年の三分の一を冥界で、三分の
ニを母デメテルのもとで暮らすことができるようになり
ました。

もう、お気付きとおもいます。地中に種が埋められ、それが
芽を出し成長し稔る、という自然の周期をあらわす因縁ば
なしになっているのですね。