集光力と目

近くに人がいたら互いに目をみつめあってみましょう。黒目の部分のなかに
さらに真っ黒な瞳(ひとみ)が見えますか。瞳の大きさはどれくらいですか。

図1は目の正面図と断面図です。星から降り注ぐ光はたくさんありますが、
そのうち図のAの部分、つまり、瞳に入ったものだけが、目の奥深く侵入
します。瞳にはいったわずかの光だけが最後に網膜(もうまく)に達し、
光として感じることができるのです。

図の Bの部分は虹彩(こうさい)と呼ばれ、明るいところでは瞳を小さく
絞り網膜に達する光を少なくします。逆に、暗いところではなるべく瞳を
大きくし網膜に達する光を多くして、よく見えるようにがんばります。星
を見る場面では暗いので瞳は7ミリメートルくらいに大きくなっているそ
うです。それでも、小さな光の窓ですね。

さて、望遠鏡を使って星を見たときはどうでしょう。図2を御覧ください。
星から降り注ぐ光は、対物レンズで受け取られます。これは凸レンズなので
光をいったん一点に集めます。しかし、集まった光は、そこを出発点にして
ふたたびひろがりはじめます。そこでもうひとつのレンズ(接眼レンズ)に
よって光の進路を曲げます。結果として、光は再び平行な光の束となって
接眼レンズから出て行きます。望遠鏡をのぞいているときは、この接眼
レンズから出てくる光の束が図1Aの瞳を通り、網膜に達します。

望遠鏡を使わないなら、たった直径7ミリメートルの瞳に入って来る光を
感じとるしかなかったのですが、望遠鏡を使えば、対物レンズで受けた
光が全部、瞳を通って網膜に達します。

このことから、暗い星や淡い星雲をみたければなるべく対物レンズの
面積を増やせばよい、つまり、直径が大きな望遠鏡を使えばよいことに
なります。

図1 目の構造
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/118-fig1.pptx
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/118-fig1.jpg
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図2 望遠鏡を通過する光
(左右逆転した図の方が図1とあわせやすいかもしれません。)
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/118-fig2.jpg
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