銀河の隔たり

宇宙の空間に浮かぶ天体がどのくらいの隔たりを持っているか。 非常に孤独に、ちょうど砂漠のなかに呆然と立ち尽くす感じで 宇宙空間に浮かんでいるのでしょうか。それとも、満員列車の ようにギュウ詰め状態なのでしょうか。天体の密度はなかなかとらえ にくいものです。人口密度になぞらえて考えてみましょう。

まず、星座を構成する「星」です。これらはみな太陽のような高温の ガス球です。そして、自ら光を放っていて、恒星と呼ばれています。 太陽の大きさを縮小してヒトの大きさくらいにしてみると、 1番近い恒星と太陽との隔たりは1万キロメートルほどになります。 つまり、星を人間にたとえると、地球上に2、3人しかいないほど の密度です。なんと、互いに遠く離れているのでしょう。

幾百万、幾千万という恒星の集団である「銀河」を考えてみると話は 一変します。もし、ひとつの銀河を一人の人間とすると、銀河同志の 隔たりはちょうど商店街のようです。人と人の互いの距離は近く、 ときには数人が塊になって何かを取り囲んでいる感じです。

図1は、わたしたちが住む銀河系とその回りの銀河の分布図です。 黄色い丸がひとつの銀河です。わたしたちの銀河よりも少し大きめの 有名なアンドロメダ銀河も近くにありますが、それ以外にもたくさん の銀河が群れをなしています。天文学者はこれをローカルグループと 呼んでいます。

この中のひとつのM33という銀河をやまがた天文台で撮影した映像を 図に示しました。やまがた天文台は毎週土曜日夜公開しています。 曇の日も星空案内をしていますが、もし、非常に晴れた日にくれば おおくま座の銀河を見せてとリクエストしてみてください。

そして、これらの銀河たちは引力で引き合っていて、あるものは衝突し 合体してしまいます。その様な例を図2に示しました。このように、 恒星は互いに離れていますが、それにくらべ、銀河はかなり込み合って いることが分かります。小さな銀河同志が合体して大きな銀河を作って いくのですね。

図1 近くの銀河の分布
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図2 ヒクソンコンパクトグループ31 (NASA提供)


この原稿が書かれた直後、すばる望遠鏡がみつけたアンドロメダ銀河の 合体の歴史を示す画像がこうかいされたので添付します。 プレス発表
画像をクリック(拡大) 提供 国立天文台