春の夜空の幻想


春の夜空は、冬眠から醒めた動物たちでいっぱいです。子ギツネは春が楽しくて たまりません。空を飛ぶ虫にちょっかいを出したくなって、長い舌を「べー」と だして遊んでみました。すると舌の粘液にたくさんの星がくっついてきて、 おなかの中に入って来るのでした。三角のおなかの中にはいっぱいの星が光って います。(図1)

舌はいつのまにか蛇になって、蛇は細くて長い長い舌を「ぺー」と出して 遊びました。蛇の舌の粘膜には細かな細かな星がくっついて来て、蛇のおなかの なかは細かな細かな星でいっぱいになりました。

蛇が子ギツネのおなかの中に吸い込まれ、子ギツネのおなかにはもっとたくさんの 星がはいった、そのとたん、子ギツネのつまさきの三角星(さんかくぼし)が 足の三角星にパタンとたたみこまれ、足の三角星はパタンとおなかの三角星に 畳み込まれました。と同時に、鼻先の三角星が頭の三角星にたたみこまれ、 頭の三角星もおなかにたたみこまれて、最後にはみんなおなかの三角に入って しまいました。

頭上には大きな三角星が輝いていました。

三角星の中の星は炎になって燃えていたので、春の夜空はぼーっと山の端を てらすのでした。

(子ギツネの三角のおなかおなかは春の大三角形、足はしし座、鼻先は北斗七星です。)
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図1柴田いくよ画
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/129-fig1.jpg
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