惑わす星


惑星は惑わす星と書きますが本当にそんな感じのこのごろの夜空です。星空案内 にも注意が必要です。「ニセふたご座」「ニセ春の大三角」そして、「ニセ土星」に ご用心。

冬の星座のふたご座はそろそろ見えなくなる季節で、日没後の西の空にやっと見えて、 すぐに沈んでしまいます。そう思って、日が暮れたころ西の空に、ふたご座の ポルックスとカストルを求めて目をやります。すると非常に目立つ二つのペアが 目に入ってきます。図1の1と2です。あれがふたご座のポルックスとカストルか と思うと、実はこれは「ニセふたご座」なのです。本物は金星の横のaとb です。 左側がポルックスで右側がカストルです。

では、ニセふたごは何かというと、1が火星、2がしし座のレグルスです。たまたま、 現在火星がレグルスのすぐ横にいて、ペアのふりをしているのですね。やがて、火星は 移動していき、このペアは解消します。

次に、南西の空高く目をやると明るいオレンジ色をした星を見つけることができます。 ちょっと、知識があると、最近、土星が見えていることを思い出して、あれは土星か と思ってしまいますが、これはニセ土星です。これはうしかい座のアルクトゥールスです。 一等星よりさらに明るい0等星なので惑星と間違えるのも無理ありません。しかも、 色も茶色で土星っぽいですね。

アルクトゥールスとおとめ座のスピカ、しし座のデネボラをつなぐと春の大三角だでき あがります。さて、この春の大三角を求めて南西の空をみると図2のように点線を使って 三角を作りたくなります。これはニセ春の大三角で正しくは実線の三角です。 土星を使って三角を作るとニセ春の大三角になってしまいます。これもたまたま土星が ここに居るからです。来年は土星が動いてこのような三角の間違いはしなくなります。

惑星は移動しながらこんないたずらを楽しんでいるのでしょう。

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図16月14日午後8時ころの西の空 (アストロアーツ製ステラーナビゲータを用いて作成)
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図 南西の空
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