イカロス君


先日、次のようなニュースがながれました。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、平成22年5月21日に種子島宇宙 センターから打ち上げられたイカロス運用において、セイル展開後 に実施した精密軌道決定により光子加速を確認しましたので、お知 らせいたします。太陽光圧による推力は1.12ミリニュートンであり、 想定通りの値です

なんだか、難しいことが書かれたニュースですね。太陽の光を帆の ような大きな膜でうけて、光から受ける力を得ようという技術の 試験がおこなわれたのでした。

暖かな太陽の光はふんわりした愛情を感じさせるものですし、太陽の 光のエネルギーで植物が育ち、私たち動物が生きていけるのです。

太陽の光は大きなエネルギーをもたらしますが、同時に力ももたらします。 大きな愛情を受けとるにはそれなりの力が必要ですが、これとちょっと にてますね。

図2では、ピッチャーの投げたボールがキャッチャーのミットにすごい 勢いで入っています。ボールが運んできたエネルギーでミットは熱く なるでしょう。ボールがエネルギーを運んできたのです。しかし、同時に キャッチャーは力を感じています。

太陽から光が発せられるということは、光子とよばれるボールのようなもの がつぎつぎに飛んできているとみなすことができます。すると、野球の ボールのときと同様に光を受けた面に力が働きます。宇宙船の大きな膜は 帆になって力を受けるのです。「ほー」なんて感心しないでくださいね。

もし、三千ワットの光を受けるとそれを光の速度で割って、10マイクロ ニュートン、つまりは、0.1グラムの力が働きます。こんな小さな力です が、帆を大きくして、長い時間をかければ推進力の足しにはなるのです。

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図1 イカロス衛星(JAXA提供)
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図2
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