ふたご座流星群を観察しよう


流れ星の魅力ってなんでしょう。

静かな星空に、突然、光のすじが走ると、脳内にも一筋の刺激が走り、 次の瞬間、その美しさにうっとりとします。いつ見ても感動です。 まだ、流れ星を見たことがない、もっと見てみたいと思ったら、12月14日夜が チャンスです。三大流星群のひとつ「ふたご座」流星群が見られます。

昔の西洋の見方では、夜空は、丸天井に星が貼りついたものです。 その天井の上に普段は見えない輝かしい神の世界があります。 天井が一瞬、裂け、天上の輝きが洩れ来るのが流れ星です。 この一瞬、地上界と天上界がつながります。 人が死んで天国に入る瞬間ともいいます。 また、願いごとが天上に伝わる瞬間でもあります。

一方、流れ星は、地球がまだできていない太古と現在を結ぶ瞬間でもあります。

太陽のまわりをまわっている小さな砂粒が地球とぶつかり、地球大気に突っ込んで来て、 空気との摩擦で高温になり発光します。これが流れ星の正体です。

地球などの惑星がまだできていないはるか昔、惑星の材料となる物質でできた 岩の様なものが太陽のまわりを回っていました。その名残りが彗星です。 その彗星が撒き散らかした砂粒が流れ星のもととなります。ひとつの流星群には ひとつの原因となる彗星が居ます。

ふたご座流星群場合は、ちょっと特殊で、 彗星から小惑星のようになってしまったファエトンとよばれる天体が元になっています。 将来、「はやぶさ」のような探査機がファエトンまで行って、 地球がまだ無い太古と現在を本当につないでくれるかもしれません。

さて、実際の観察はどうすれば良いのでしょう。ふたご座流星群のピークは 12月14日夜、実際には、15日午前2時頃です。図のようにふたご座が頭上に きており、全天で流れます(どこでながれるかはわかりません)。 ただ、流星の軌跡をもとへたどっていくとふたご座にだとりつくという性質があります。 ピークの前後、2、3日は、ふたご座が見えていれば流れますのでピーク時以外でも あきらめず観察してみてください。 願いごともお忘れなく。



記事外ひとこと

流れ星はそれだけでも魅力的ですが、見れば見るほど可愛くなるのがまた魅力です。 というのは、流れ星ひとつひとつにかなり個性があるからです。 明るさと言うか燃えかたと言った方がいいです。なれてくると、 明るさのアクセントがどこにあるかが違うのでそれが気になってきます。 煙のようなもの(痕と専門家はよびます)を残すこともあるし、 コースがゆがんだり、時には、行ったり来たりするのまであります。

そういうのを見てくると、はやぶさくんじゃないですが、小さな砂粒が 大気に突っ込んだな、摩擦で熱くなって蒸発が始まったな、 ちょっとスピンがかかった、途中で砂粒にヒビがはいった、 すっと燃えつきた、、、 といったイメージが流れ星のなかから沸いて来ます。 ときには、砂粒の形が想像できることもあります。 ちいさな砂粒の一生をみるようでもあります。

わたしは以上のように感じて見ていますが、 ぜひ、たくさんの流れ星をみて、 みなさんもいろいろ感じて下さい。
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図1 ふたご座流星群の見え方(12月15日午前2時頃の空)
(アストロアーツ製ステラーナビゲータを用いて作図)
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/154-fig1.ppt
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/154-fig1.jpg

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図 ヘールボップ彗星(参考図、彗星を知らないかたも多いので)(提供:国立天文台)
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/154-fig2.jpg