星は冷ますと熱くなる


冷ますと熱くなるものがあります。星です。

熱いお茶をいれたとしましょう。そして、お茶が回りに熱を発散させると 当然お茶は冷えて温度を下げます(図1)。逆に、熱を加えるとお茶は熱くなります。 1グラムの物質の温度を一度上げるのに必要な熱エネルギーの量が比熱です。 たとえば、水1グラムを1度温度上昇させるのに必要な熱エネルギーは1カロリーです。

太陽をはじめとした星は放射によってエネルギーを四方八方に発散させています。 なので星はどんどん冷えてゆきそうです。星は冷えて温度を下げてしまいそうです。 ところが実際はそうではありません。 実際は、星はエネルギーを発散させると温度が上がるという不思議な性質を もっています。 「星は冷ますと熱くなる」というわけです。 比熱と言う言葉であらわすと、負の比熱を持っています。

なぜでしょうか。

熱を放出すると星はその圧力を減少させ、そして、縮みます。 風船の圧力が減少して縮むように。しかし、星の重力は星の中心に向かって いますから、 縮むということは星の表面のガスが星の中心に向かって落下することで あり、重力のエネルギーをもらってガスの温度が上がります。 こうして、熱を放射すると縮んで温度が上がるという結果になります。

星は宇宙空間にあるガスの雲から誕生します。 星になる前のガスの雲は赤外線を 放射しています。 ガスは、赤外線を放射し、縮み、その結果温度を上昇させ、 温度が上がるとますます効率よく赤外線を出し、 ますます縮んで、ますます温度を上昇させ、、、ということをくり返します。 温度がどんどん上昇し数千万度に達すると核融合反応が起こって膨大なエネルギーが 放出され、輝きはじめます。これが星の誕生です。図2はそうやって出来たたくさんの 星の写真です。アクセサリーにしたくなるほどきれいですね。
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図1
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図1 NGC 3603とよばれる出来たばかりの星の集団(映像NASA提供)
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