夏の大三角形の見つけ方


七夕もすぎ、夏の星座がいよいよ登場です。今の時期ですと、 やっと暗くなった午後8時半ころ東の空に夏の星座が昇っています。 さあ、見つけてみましょう(図1)。

東に向かって立ちます。手をまっすぐ水平に伸ばします。手をグーに握りしめ、 グーの下の縁を地平線の高さにあわせると、グーのすぐ上の位置が図1の「1」の目盛の 高さです。反対側の手でもう一つグーを積み上げると、「2」の目盛の 位置まで高くなります。そして、6目盛まで高く目を移動させます。かなりの 高さです。実はこのひと目盛は約10度です。なので、これで60度くらいの高さを見る ことになります。すると視野のなかではいちばん明るい星が 見つかると思います。これが織姫星です。西洋の呼び方では、こと座のベガです。

半分位の高さに織姫よりも暗いけど目立つ星が二つ図1のように見えます。 右側にあるのは彦星(わし座のアルタイル)、左側のが、はくちょう座のデネブです。 見つかったでしょうか。この三つが夏の大三角です。 図ではちょっと見にくいかもしれませんが、はくちょう座をとおり、織姫と彦星 の間に天の川が流れています。 図1で、はくちょう座の座の字のすぐ右に「や座」、アルタイルのアの字のすぐ 左上に「いるか座」の星々が描かれていますが、これが分かればかなり上級です。

織姫と彦星は年に一度会うことになっていますが、本当は何光年も離れていて 会えないのですよね。実際、どれだけ離れているのですか、とときどき質問を 受けます。図2によって、その答えを探してみましょう。

織姫星までは約25光年の距離があります。今、25歳のひとは、自分が生まれた時に 織姫星を出発した光がいまやっと地球に届いて、自分の目に入ったのだなと想像 してみると楽しいですね。彦星までの距離は約17光年です。光年を使うと覚えにくい ので、織姫25歳、彦星17歳とすると覚えやすいです。

見かけ上、織姫と彦星は約34度離れていますから、図2のように、三角形の二辺と その間の角が分かっているので、残りの一辺、つまり、織姫と彦星の間の距離が 分かります。定規と分度器があれば図2のように紙に書いて、二辺を25センチと 17センチにすると、答えとして14.5センチくらいの値が得られると思います。 織姫と彦星の間の距離は14.5光年となります。 なお、現役の高校生のみなさんは、数学で余弦定理をならうかも知れません。 そのときはこの値を計算で求めてみてくださいね。

図1 7月11日午後8時半ころの東の空の様子
(アストロアーツ製ステラナビゲータを用いて作図) 
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図2 午後8時頃頭の上をとおる星座とその時期
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図のパワーポイント
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