宇宙の広がり

星座を見ていると星々は円天井にはりついているようにみ えて、遠近感はまったくありせん。星々は実際には広い空 間に浮いていて、遠くにある星、近くにある星といった、 遠近があります。では、普段見ている星座の星たちはどれ くらいの距離にあるのでしょう。

距離は、光の早さで1年かかって到達できる距離を1光年 として、これを単位に計るのでした。七夕のおりひめ星ま では25光年の距離があります。いま25歳のひとが生ま れたころにおりひめ星から発せられた光が今届いているの ですね。これは近い方で、冬の星座でおなじみのオリオン 座の三つ星までの距離は、みっつとも大体同じくらいの距 離で 1500ー1300光年です。三つ星の光は聖徳太子 が生きていたころに出発した光です。


図1 5メートルほど移動して撮影した写真。遠くの山に対して 近くの建物が動いています。これを視差といいます。 ppt

さて、このような星までの距離はどのようにして計ったの でしょう。見る位置を変化させると、遠くの景色に対して 近くにあるものは動いて見える「視差」という現象を利用 します。(図1)地球は一年かけて太陽の回りを一周しま す。おかげで観測位置が移動しますので近くにある星の位 置が動いて見えます。図2の様に動きます。この動きが大 きいものほど近くにある星と言えます。


図3 この星の動きは地球が太陽の回りをまわることから生じます。 ppt

図2 地球の運動により近くにある星は一年周期で楕円状に動いて見えます。 これを年周視差といいます。図では、黄色の星、青い星、赤い星の 順で遠くなり、背景の星は遠すぎて運動しているように見えません。 ppt

実際どのくらい動いて見えるかと言うと、3光年先の星で は1秒角ほど動きます。腕を精一杯伸ばして小指の先(1cm) くらいの大きさが約1度に相当します。1度の60分の1が 1分角、その60分の1が1秒角です。なので、腕を伸ばし た指の先についた大腸菌(1ミクロン)の回りをぐるっと回る ような動きです。最新鋭の測定器では更にこの千分の1の動 きが測定できますが、これが現状では限界です。現在さらなる 高精度の測定を目指して研究が進んでいます。

とはいっても、星間空間の広がり、星々の宙に浮いた感覚 はなかなか理解しがたいものです。これは立体的に宇宙が 見える4次元宇宙シアターで見ることができます。東京の お台場にある日本科学未来館でも見られますが、山形大学 にあるシアターでも見られます。11月24日と12月 29日に上映されますので下記インフォメーションセンター に予約ください。