ハッブルの変光星

銀河系というのは3千億とも言われるほど多くの星が集まって、渦をまく 星の集団です。その中のひとつの星が太陽です。銀河系の大きさはおよそ 10万光年ほどです。

銀河系には非常にたくさんの星があるので太陽のような星だけでなく、たとえば、 明るさがアップダウンを繰り返す「変光星」呼ばれる種類の星もあります。

今から100年も昔のこと、アンドロメダ座にある渦巻状の雲のように見える 「アンドロメダ星雲」とよばれるものの正体について天文学者は悩んでいました。 正体を探るにはなんといっても大きな望遠鏡を作ってよくよく拡大して 観察することが重要です。

肉眼では雲のように見える天の川もガリレオが望遠鏡で見て、 雲ではなくてたくさんの星の集まりであることを発見しました。 だから、アンドロメダ星雲も大きな望遠鏡で見ればその正体が分かるかも知れません。

驚異的な「視力」を誇る現代のハッブル宇宙望遠鏡で見ても、 アンドロメダ星雲を詳しく調べるのは大変そうです。 それでも雲のようなものの中に星のようなたくさんのつぶつぶが見えます。 このつぶつぶの変化を調べていたエドウィン=ハッブルは、あるひとつの 粒が変光することを見つけました。1923年のことです。現代の望遠鏡で同じ星を 撮影して確かに変光していることを示したのが図1です。 変光の周期は31.4日でした。

図1 M31(アンドロメダ銀河)にある変光星 V1 (提供:NASA)

ゆっくりと暗くなり、スッと明るくなる独特の変光の仕方が、私たちの銀河系に あるものと同じであることから、アンドロメダ星雲の中にあるつぶつぶは太陽と 同じような星であり、そのひとつぶが変光星ということが分かったのです。 その後もたくさんの変光星がアンドロメダ星雲に見つかり、アンドロメダ星雲は 実は私たちが住む銀河系と同じような星の大集団であることがわかりました。 人々はもうアンドロメダ星雲とは呼ばないで、「アンドロメダ銀河」と呼ぶように なりました。そして、宇宙にはたくさんの銀河があることが今では分かっています。