大質量星の居るところ


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夜空に浮かぶたくさんの星はそれぞれ重さが違います。太陽は中間的な重さ ですが、太陽の大体8倍以上の重さを持った星を専門家は「大質量星」とよんで、 これらは重い星です。

この大質量星は銀河系のエネルギーの供給源としてとても大切な存在です。 また、 宇宙には、炭素や酸素、硅素などの元素が最初無かったのですが、 これらの元素を星の中で生産し、太陽系にも供給してくれたのはこの大質量星たちです。 宇宙にあるさまざまな元素の供給元が大質量星だといえます。だから、大切な星たち です。

大質量星は太陽の近くには居ないので観察が難しいのですが、その例外が カシオペア座にあるNGC 281 です。 NGC 281 は星雲で、その中に大質量星を一杯含んでいます。その意味では星団とも 言えます。観察が容易なのは私たちから抜群に近い位置にあるためです。 地球からの距離は 9,200光年 です。 光の早さで行って 9,200年で行ける距離です。 しかも、NGC 281 は銀河の渦巻の中にあるのでなくてちょっと浮き上がった地球から見やすい 位置にあります。もし、銀河の渦のなかにあったら塵によって隠されてよくみえなく なっているところです。

図1は、NGC 281 の画像で、X線望遠鏡の「チャンドラ」と赤外線望遠鏡「スピッツア」 による合成画像です。中央にあるたくさんの明るい星たちがみんな大質量星です。 星からはガスが四方八方に出ていて、まわりのガスを押しやります。また、強い 紫外線を出すので回りの低温で密度の高いガスの表面を照らし、発光させます。 写真左や下にあるさまざな格好をした雲のようなものはそのような光る低温のガスです。 これらの中には、まだ誕生していないたくさんの大質量星が眠っていると思われて います。よく「星のゆりかご」といわれるのはこのような星が誕生する場所です。

この雲の中で星が産声をあげるのは百万年後くらいでしょうか。そのころ私たちは どうなっているのでしょうね。



図1 NGC 281とよばれる星雲 (NASA提供)
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http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/186-fig1.jpg