星になったひよ子


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肉眼でも、ごちゃごちゃっと小さな星がかたまって6、7個見えるので とても気になる天体が「すばる」という星団です。気を曳くので、 いろんな話が伝わっていますし、いろいろな利用の仕方をされています。 ナスカの地上絵の方向にも「すばる」の出てくる方向が関係しているのだ そうです。また、仏教の国、タイにはこんな話があります。

ある日、疲れた旅人がある老夫婦のもとにやってきて、一夜の宿を乞いました。 しかし、老夫婦の家は貧しく食べ物が充分にありません。 それで飼っていた鶏をかわいそうですが料理することに決めました。 鶏が鍋に入れられました。すると、どうでしょう、そのお母さん鶏の後を 追って、7匹いたひよ子たちもつぎつぎに鍋に飛びこんでしまいました。

この旅人は仏様ブッダが姿を変えていたのでした。仏様は老夫婦のもてなし に感謝しました。そして、母思いの七匹のひよ子を哀れんで天にあげて 星にしました。これが今、私達が見る「すばる」なのです(図1)。

これは、母思いの子どもたちのお話しですが、一方で、北アメリカ、チェロキー族 のお話では、家出した七人の子どもたちの話があります。

石遊びが大好きな7人の 子どもたちがいて、晩ごはんの時間になってもなかなかかえって来ないので、 お母さんは怒ってしまい、鍋に石をいれてぐつぐつ煮てしまいます。怒った 子どもたちは「お母さんのいないところへ行っちゃおう」といって踊り始め ます。すると段々とからだが浮き上がってついには天に昇って星になってしまい ました。これが「すばる」なのですが、一人が途中で落っこちてしまい、 「すばる」の星は六つだそうです。

同じ「すばる」も、気持ちの持ち方でいろんな風に見えるんですね。



図1 「すばる」の七つのひよ子の居場所(背景画像NASA提供)
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http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/192-fig1.jpg