金星の雲


夕方、西の空にとても明るい宵の明星が見えています。図1は午後5時30分ころの西の空を 示してます。宵の明星の正体は金星です。英語ではビーナス(愛と美の女神)と呼ばれます。 それだけにきらびやかに明るく、現在の明るさはマイナス4等です。一等星よりも百倍も 明るいということになります。

なぜ、こんなに明るいかというと、もちろん地球から近いと言うこともありますが、 太陽の光をとても良く反射するきらきら光るベールで つつまれていると言うことが重要だとおもいます。 反射率は78パーセントもあります。 このぶ厚いベールのおかげできらきら光るるのですが、一方でベールのために 金星の地表面をみることは地上の望遠鏡からではできません。

金星を覆う大気はとても分厚く、金星表面の気圧は地球の90倍もあります。 大気はほとんど二酸化炭素でできています。なので、温室効果がとても良く働いて、光を良く 反射するベールをかぶっているにも関わらず、火星表面はとても熱くて、 およそ摂氏500度にもなっています。 さて、よく光る金星の雲ですが、水滴からなる雲でなくて 濃硫酸よりなる雲だそうです。ちょっとびっくりですね。

不思議な金星を探査しようと「あかつき」が2010年5月にJAXAによって打ち上げられました。 しかし、2010年12月7日に金星を周回する軌道にいれることに失敗してしまったことを覚えて いるかたもおいでと思います。さて、「あかつき」君はどうなったのでしょうか。 壊れたメインエンジンは使用不可能ということが分かり、残った燃料の重さが今後の復活の邪魔になることから、 燃料をまず捨てて、身軽になる操作が行われました。そして、残る4つの小型エンジンを 噴射させ、2015年に金星との会合のチャンスを狙う軌道に入ることに成功しました。 今後、金星の周回軌道にどのようにして入るか、慎重に検討しているところだということです。




| もくじ に戻る|


図1 1月下旬午後5時半ころの西の空
画像をクリック(拡大)
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/199-fig1.jpg
図のパワーポイント
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/199-fig1.ppt

図2 マリーナ10号による金星(NASA提供)
画像をクリック(拡大)
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/199-fig1.jpg