星はすばる

平安文学の頂点のひとつである清少納言の「枕草子(まく
らのそうし)」に次のような一節があります。

星はすばる。
ひこぼし。
ゆふづつ。
よばい星すこしをかし。

星の中でイチオシなのが「すばる」というわけです。つ
ぎが、彦星だと言っています。彦星のすぐそばには織姫
星(ベガ)があってずっと明るいのに、なんで彦星が先な
のでしょう。殿方がお好きなのかと変なことを思ってし
まいますが、それは置いておいて、すばるの時期になり
ましたので実際の空で見つけてみましょう。

この時期でしたら夜の7時ころ、東の空を見てみましょう
(図1)。真東からやや北寄りに「入」という漢字を裏返
したような形が目に入ります。この漢字の筆順の最後のと
ころを延長すると図のように小さな星がごちゃごちゃと集
まって見える場所にぶつかります。腕を伸ばしたとき地平
線から「げんこつ」ふたつ分くらいの高さです。同じ高さ
で北のほうに明るい星があります。これはぎょしゃ座のカ
ペラという星です。

双眼鏡をお持ちでしたらぜひ双眼鏡でのぞいてみてくださ
い。たくさんの星が見えると思います。このような星の集
まりを「散開星団」と呼びます。すばるまでの距離は約400
光年で比較的近くにある星団です。すばるは今でも詳しい
研究が続けられています。近くにあるので暗い星まで見る
ことができますから、どのくらいの重さの星がどのような
割合で誕生するのかの研究にはもってこいの材料と言えま
す。

図1 すばるの見つけ方
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/20-fig1.ppt
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図2 シュミット望遠鏡で見た「すばる」(プレアデス星団)
Credit: NASA, ESA and AURA/Caltech
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