銀河の衝突は愛を


「銀河の衝突は、戦いではなく、愛を育む」というタイトル で現在ハッブル画像の人気No.4 の画像が図1です。

銀河というのは宇宙空間に浮かぶ巨大な星とガスの渦巻く集団で、 わたしたちの太陽系もそんな渦の中に位置しています。 ときとしてこの広い宇宙の中で、二つの銀河が衝突することがあります。 衝突の際には銀河を引きちぎるような力が(相手の銀河からの引力と 遠心力のアンバランスから)生じます。 その結果、図2のような状態になることがあります。 ちょうと昆虫の頭から触覚が出ているように見えるので触覚銀河(アンテナ銀河)と 呼ばれています。2ー3億年前に衝突がはじまり、今、図2のような状態 が見えています。7.5億光年かなたのできごとです。

星は、万有引力(重力)の働きでガスが収縮してできます。 万有引力で収縮するのは自然なことと思われますから、 ガスがあれば星は簡単に作られると思っていませんか。 ところが実際に宇宙を詳細に調べると、 ガスの圧力が万有引力に拮抗して、 「収縮したいけどなかなか収縮できないガス」がほとんどであることが知られています。 なにかのきっかけがあれば収縮して星になるのだけど、という状態です。 恋はしたいけどなかなか実際は、、、というのに似ています。

そんなとき、銀河が衝突すると、互いの銀河にふくまれるガスが押しあって 圧縮が起きます。すると堰を切ったように赤ちゃん星が大量に生まれ出て来ます。 触覚銀河の頭の部分、銀河がちょうとぶつかっているところの拡大写真が図1です。 数珠玉のように青白く輝くたくさんの光のかたまりが見えますか。 そのひとつひとつが数万個の赤ちゃん星の集団です。 こうしていくつもの星の大集団が衝突によって誕生します。 衝突という刺激によって新しい恋がつぎつぎに生まれ、 赤ちゃん星が大量に誕生というわけです。

さまざまな外的な刺激によって星が大量発生し星団を作ることが知られています。 これらの星はやがて散らばってなめらかな銀河の姿を作っていきます。

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図1 ハッブル望遠鏡がとらえたアンテナ銀河(NGC 4038, 4039)
(提供 NASA)
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http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/207-fig1.jpg

図2 アンテナ銀河全体像
(提供 NASA)
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http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/207-fig3.jpg
ファイル名がfig3となっていますがこれで正しいです。
こちらは記事の中では形がわかればいいので小さい扱いでお願いします。