金星の太陽面通過


太陽の周りに惑星があるように、 夜空に輝くたくさんの星たちの周りにも惑星が回っていることが分かってきました。 中には地球のような大きさと温度をもつようなものもどうやらありそうです。 さらに想像を膨らませると、 そんな惑星の大気の中に酸素が見つかれば植物や動物が居る証拠になりそうです。 実際にこの証拠を見つけるための予備観測が6月6日に行われます。

6月6日は、金星が太陽の前を横切るという珍しい現象が見られる日です。 図1に予想図を書きましたので、先日の日食の際に日食観察グラスを 手に入れることができた方は、この日太陽を見てみましょう。 ごま粒のような金星を発見できるでしょう。

図1の右は2004年に起こったときの写真です。次回同じ現象が 起こるのは2117年12月だそうですからこれを見逃したらおそらく一生見ることは できないでしょう。

金星には地球と同じく、図2にように大気があり雲があります。 さて、太陽の前を金星が横切ったらどうなるでしょうか。太陽の光の 一部は金星の大気を通り抜けた後に地球に届くのです。図3のように 太陽の前に来たとき紫色に塗った部分は金星の大気を通って来た太陽の 光です。金星の大気には二酸化炭素がありますので、痕跡が紫色の部分の光に 残されます。ほんのわずかですが残されます。 これをとらえれば金星大気の二酸化炭素の存在を確かめることができます。

こんな面倒なことをしなくても金星まで宇宙船を派遣すればいいのですが、 太陽光を通す方法がうまくいけば、 今度は星座を作る星の光の中に、惑星が星の前を横切ったときに 同じように大気の成分を知ることができるのです。 そして、その中に 酸素があれば生命体の証拠になるかもしれないのです。 さあ、観測はうまくいくでしょうか。


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図1 2012年6月6日金星の太陽面通過の予想図(左)と2004年の記録(撮影:柴田)
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(トリミングしてお使いください。)
図2 金星の大気(提供NASA)
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図3 金星の大気の光の吸収を調べる
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原画ppt
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