日食、月食、金星食


5月21日の金環日食、6月4日の部分月食、6月6日の金星の太陽面通過と、 今年は珍しい現象をみることができるあたり年です。 これでおわりではなく今度は 8月14日の未明に金星食があります。

いろいろな用語が出て来て混乱しそうなので、 ここでどのような現象があるのか整理しておきましょう。

まず現象は大きく二つに分類できます。ひとつは星の前に障害物となる 天体が現れて、光をさえぎる現象です。もうひとつは、天体の影が別の 天体に落ちて黒くみえる現象です。

日食のときは太陽の前に月が現れて 太陽の光を隠してしまいました(写真1)。完全に隠せは皆既日食となり、あたりは真っ暗に なります。今回山形では太陽の最大87パーセントが月によって隠されました。 日射が減り、ちょっと涼しく感じられたという方もおいででした。 金星の太陽面通過では太陽の前を金星が通過して太陽の光をさえぎりました(写真3)。 でも金星は太陽にくらべてとても小さいので、太陽に黒い点がみえるだけでした。

天体が影を落とすという現象をみてみましょう。 地球の影が月の上に落ちると、 月が暗くなります。これが月食です。今回は地球の影の中に月がすっぽりと入る 皆既月食ではなくて、地球の影の一部が月に落ちるという部分月食でした(写真2)。 木星の回りを回る衛星の影が木星表面に写るという現象もあります。 写真4はその様な例です。巨大な木星の回りを回る小さな衛星イオが木星の 前を通り木星と重なっているのですが、それと同時にイオの影が木星の上に落ちています。 写真で左側の豆粒のような天体がイオ、右側の黒い点がイオの影が木星の表面に 写ったものです。

8月14日の未明の金星食では、金星の前に月が現れ、金星が月によって隠されます。 広大な宇宙といいながらこのように小さな天体が折り重なっておこる現象に、静かでなく、 変化する宇宙を感じないわけにはいきませんね。


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図1 5月21日の金環日食(撮影:山口康広さん)
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http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/217-fig1.jpg
図2 6月4日の部分月食(撮影:小林立子さん)
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図3 6月6日の金星の太陽面通過(撮影:青木勝さん)
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図4 木星と衛星イオとイオの影(NASA提供)
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http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/217-fig4.jpg