今年最後のお月見?


11月28日は旧暦で10月15日満月です。みなさんは、今年はお月見をしましたか。 もう冬に入り、初雪を見、霜が降りるころとなりましたので、 お月見も今年はもうおしまいです。 今晩は、ちょっと寒いですが、今年最後の月見をお楽しみください。

今よりももっと肌で自然を感じていた昔、暖房も今のように十分ではなく、電気も無いので 夜の明かりと言えば月が重要だったころの習慣はうまくできています。 このことをちょっと振り返ってみましょう。

今晩は満月ですが、月の出は16時7分です、月が昇って来て月が見やすくなるのは19時以降になります。 この季節だとそんなに遅い時間だと寒くてたまりません。(ここで、暖房が十分でなかった昔の状況を考えてくださいね。) 今年最後のお月見は、昔の習慣ですと旧暦10月10日の「とうかんや」にすることになります。 今年のとうかんやは先週の23日です。 この日の月の出は13時15分ですから、太陽が沈む頃に、 山の上にちょうどいい高さに昇ったお月様を拝んで、 ことしの収穫のお礼をし、田の神様が山に帰って行くのを見送ることができます。 とうかんやの月(図1)と満月(図2)を比べてみましょう。

「とうかんや」は秋の収穫祭の一つです。先にも書きましたが田の神様が山に帰って行き、 これからは人間も冬ごもりとなります。皆様の住んでいる地域ではとうかんやの行事はあるでしょうか。 私は兵庫県の出身ですが、なぜか、「とうかんや、とうかんや、、、、」という歌を子供の頃聞いた覚えがあって、 節回しも頭の隅っこにまだ残っています。 稲刈り後の藁を束ねて「藁鉄砲」を作り、子供たちが地面を叩いてこの歌を歌いながら各戸を回るといった 地域もあるそうです。

このような日にちの選定をみていると月や太陽や星といった自然とぴったり寄り添って生きている感覚は いいなとおもいます。私たちが今使っている星座の元を作った5千年前のメソポタミアのシュメール人たちも私たちの旧暦とおなじ太陰太陽暦を使っていて、 この事を知ると、地球に住む以上月と季節のサイクルに合わせた行事は大事にしたいなと思います。


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図1 「とうかんや」の午後4時半ころの月 (ステラリウムを用いて作図)
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図2 旧暦10月15日のの午後7時半ころの月 (ステラリウムを用いて作図)
(これは原稿外:並べて、どちらの月見がこの季節にふさわしいか考えてみましょう。)
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両方のパワーポイント
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