冬至


古代の人は、暦を作るため、 お昼の太陽が最も高く昇った時の影の長さを測っていました。 中国の古い文献にはそのような観測の記録が残っています。 古代エジプトでは太陽の高度を測るためのLの字型の道具が発掘されています。

影は、冬に向かってどんどん長くなり、つまり、太陽の高さは低くなり、 陽の光は衰えていきます。

もっとも影が長くなる日が冬至です。今年は、今週、21日です。 図1のように、その土地の緯度に23.4度を足した角度が真上(天文学では天頂と呼びます) からの角度になります。山形ですと62度くらいでしょうか。 地平線からは90マイナス62で、28度位の高さになってしまいます。

しかし、冬至を過ぎると太陽の高さは減少から増加に転じます。 昔の人は、太陽の力が回復、復活するこの日を大切に思い、 冬至にお祭りをしました。 いまでも世界各地で冬至のお祭りが残っています。

日本でも冬至の風習はいろいろ残っています。たとえば、冬至カボチャがありますね。 冬至カボチャそっくりの星雲もあります(図2)。

他に「冬至には小豆がゆを食べると良い」、というのもあります。 共工という水神の息子が、冬至の日に死んで疫鬼になり、人々を苦しめたのですが、 この疫鬼が小豆を恐れるとかで、 小豆がゆを食べて病気にかからないようにするのだそうです。 へぇ、そんな話もあるんだと感心していたら、小林一茶のこんな俳句が 目にとまりました。

「かゆ食うも、物知りらしき、冬至かな」

冬至は太陽の高さの復活の日ではあるのですが、 寒さはこれからさらに厳しくなります。 太陽の力が顕れるのは、立春のころまでお預けです。 一年の始まりは、中国の古い暦では冬至でしたが、 漢の武帝の時から年初を立春に改めたそうです。 春を感じる立春を年初にする気持ちはとてもよくわかりますね。 これからしばし寒さに耐える日々が続きます。 どうぞみなさまも健康にお気をつけてお過ごしください。


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図1 冬至の日の影の長さ
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図2 17万光年かなたにある毒グモ星雲ですが、冬至カボチャにみえませんか?
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