巨大惑星誕生(アルマ望遠鏡にて)


宇宙空間にあるガス雲の中心部分から一つの星が誕生したころ、 まだ残っているガスは星の回りに円盤を作ります。 そして、その渦巻く円盤の中で惑星が生まれます。

おおかみ座にあるHD142527というできたての星のまわりにそのような円盤があり、 惑星ができている様子をアルマ望遠鏡が見つけました。 先週、紹介したアルマ望遠鏡です。 では、どんな様子が分かったかを詳しく説明しますね。

中心にできたばかりの星、そしてそれをとりまくガス円盤があります。 その中で木星のような巨大惑星がつくられると、 惑星の軌道周辺のガスが排除され空隙(おおきなすきま)になります。 すると、図1のように、 中心から外に向かって、まず、星、 つぎに、内側の円盤、 空隙(このなかに惑星が今回は二つとひものような細長いもの)、 外側の円盤(リング形)、 という構造になります。

面白いのが「惑星のへその緒」とよばれているひものような構造です。 外側の円盤から惑星にガスが流れ込み惑星が成長します。 一部のガスがあふれて、惑星から内側の円盤に流れ込みます。 図1は理論的な計算結果なのですが、アルマ望遠鏡の強力な視力で 図2の様にまさしく予想通りの構造がみつかりました。

赤い色のところは塵の色で外側の円盤です。 一部は緑ですがここは水素・炭素・酸素からなる分子です(HCO+)。 円盤の中の明るい青緑の部分が内側の円盤で、 そこから時計の3時と10時の方向にうっすらと「へその緒」が見えています。

内側の円盤が太陽系でいうと土星くらいの位置(中心星から15億km)で 外側の円盤は海王星の位置の10倍くらい外側の大きさです。 この星までの距離は約450光年です。 ここには写っていませんが、地球のような惑星もここにできているのでしょうか。


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図1 二つの惑星とその空隙の理論的予想図(提供:ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)/M. Kornmesser (ESO))
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(説明付き)
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http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/249-fig3.pptx 図2 アルマがとらえたHD142527のまわりのガスと塵の円盤。 (提供:ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), S. Casassus 他)
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