星の脈動の仕組み

星座をかたちづくる星々は、恒星と呼ばれるように、恒(つね)なるものという イメージが強いのですが、なかには気まぐれ者で、 明るさを変化させるものがあります。これを変光星と呼んでいます。 なかでも、一つの星の大きさが膨らんだり縮んだり、温度が上昇したり 下降したりするタイプのものがあり脈動変光星とよばれます。 まるで星が心臓のようにドキドキ鼓動する感じです。 今日はなぜ星が膨れたり縮んだりできるかを説明するという難問に 挑んでみたいと思います。

図1

太陽のような星は、万有引力(重力)で縮もうとする力と、 星本体が高温ガスであるためにそのガスの膨張しようという外向き圧力との バランスで形を保っています。 図1のAの様ですが、これはBの様な ピストンによって封じ込められ気体と同じです。 圧力と重力が釣り合ったBの状態が太陽と同じだと言えます。 ピストンが実際の星と違うところは星は光を出していということです。 星の中心から光が発せられ、ガスの中をじわじわしみ出て最後には表面から 出て行きます。なので図のCの様に、ピストンの気体の中を光が通っている感じです。

さて、ここでピストンの中の気体の中に、雲が湧き出たりまた晴れたり したらどうでしょう。 もしかりに雲か霧のようなものが発生したら、Cの図で透過する光が 吸収されそのエネルギーによって気体は暖められピストンが持ち上がります。 持ち上がってガスが薄まると霧が晴れると光は再び透過するようになり、 ガスは冷えて、圧力が下がり、ピストンが下がります。 するとまた霧が発生し、、、、という風に繰り返せば、ピストンは上下を 繰り返すことになります。これを図のAで考えると星は膨らんだり 縮んだりを繰り返す脈動変光星になっていることになります。 実際の星では中性のヘリウムガスがイオンと電子に分かれるという電離現象が 雲の発生に相当するものになっています。


図2 山形大学宇宙物理研究室の伊藤君、菅原君、千葉君たちが とらえたおおぐま座AE星の明るさの変化。(やまがた天文台15cm屈折 望遠鏡にCCDカメラを取り付けて測定)

ちょうど私の研究室の4年生が卒業研究で、おおぐま座の一角にある ある星が脈動している様子の観測に成功しました。図2が変光の様子で、 横軸が時間、縦軸が明るさで10.9等星の11.5等星くらいの間を行ったり 来たりしている様子がわかります。






総合ppt

図1 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/252-fig1.jpg
図2 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/252-fig2.jpg
パワポ http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/252-fig.pptx
参考文献
/Users/shibata/Desktop/ss/public_html/yamashin/AE\ UMa\ V等級 光度曲線.docx
/Users/shibata/Desktop/ss/public_html/yamashin/aa10358.pdf
/Users/shibata/Desktop/ss/public_html/yamashin/aa1303.pdf
/Users/shibata/Desktop/ss/public_html/yamashin/07_ishida.pdf