パンスターズ彗星

2月15日ロシアに大きな隕石が落ちて被害がでてしまいました。 相前後して16日未明には45メートルサイズの小惑星が地球に大接近しました。 もっとも近づいた時は地球から2万8千km(地球直径の2倍ほど)で、 静止衛星軌道よりも近くなりました。 そして、地球には影響を与えず、無事通過しました。

地球に接近してぶつかる恐れがある小天体(巨大な岩や氷山のようなもの)をちゃんと 監視して見つけられないものでしょうか。そんな質問を受けることがこの事件以来 よくあります。

対策の一つが、パンスターズ望遠鏡です。小惑星や彗星などの地球接近 天体を監視するための望遠鏡でハワイ大学天文学研究所が運営しています。 口径が1.8メートルの望遠鏡で満月の40倍ものサイズの空をいっぺんに撮影できる 世界最大のデジタルカメラです。


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図1 夕焼けの中のパンスターズ彗星(撮影:飯塚亮)

このパンスターズ望遠鏡がみつけた二つ目の彗星が「パンスターズ彗星」で、 発見以来、軌道を追跡していました。いまやこの彗星は、 3月10日に太陽に最接近し、尾を見せ始め、明るくなり、 今、地球から見えるようになりました。

3月11日に撮影したパンスターズ彗星の写真を図1に 紹介します。確かに尾を引く彗星の姿を見ることが出来ます。

これからの見え方を図2に紹介します。 日没後に、図の方角に双眼鏡を向けてみてください。 夕焼けの中にきっと彗星をみつけることができるでしょう。 肉眼では見るのは難しいと思われます。 しかし、デジカメをお持ちの方は、闇雲でいいので撮影してみてください。 映っているかもしれません。 小さいデジカメでも最近のものは目よりデジカメの方が感度がよいのです。

彗星は氷の固まりですが、太陽からの光や太陽風にあたって蒸発しガスをまとい、 チリやガスが太陽と反対方向に流れて尾となって見えます。 パンスターズ彗星の軌道を見ると、この彗星は今見た姿が最後で、このあと、 太陽系の果てに行ってしまい、二度と太陽へは戻ってきません。 そう思うと大事な出会いのような気がします。がんばって探してみてください。



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図2 パンスターズ彗星の予想位置(提供:国立天文台)


references

図1
夕焼けの中のパンスターズ彗星(撮影:飯塚亮)
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/256-fig1.jpg
図2 パンスターズ彗星の予想位置(提供:国立天文台)
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/256-fig2.jpg