30m超大型望遠鏡

直径30メートルの超大型望遠鏡の建設が始まります。 日本の「すばる望遠鏡」をはじめとする直径8〜10メートル級の世界の大望遠鏡の次の世代の望遠鏡として2014年度建設が開始され、 2022年完成を目指します(図1)。


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図1 直径30メートル超巨大望遠鏡の完成予想図(提供:国立天文台)

遠く宇宙の果てからくる光をとらえる、 あるいは、 近くの星であってもその星に地球のような惑星があってそこに生命があるかを調べる、 となるとその光は非常に微弱ですから、光を受ける望遠鏡の直径を大きくしなければなりません。

新しい望遠鏡の光を集める鏡(主鏡)は、対角線が1.44メートルの六角形の小鏡を492枚敷き詰めて直径30メートルにしたものです。 小鏡といっても、それ一つでもそんじょそこらに無いような大きな望遠鏡ができるような大きな鏡です。 もし、沢山作って余りが出たら、のどから手が出るほど欲しいです。材質は温度による膨張がゼロに設計されたセラミック製です。 完成すれば、その可視光を集める力は人類が持つ最大です。 なお、観測は可視光線と赤外線で行います。


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図2 ハッブル望遠鏡との見え方の比較(提供:国立天文台)

細かいものを見分ける分解能も直径に比例してよくなります。 図2の上は、有名なハッブル宇宙望遠鏡で見た数十億年かなたの宇宙ですが、 ひとつひとつの銀河は真ん中の図のようにぼけています。 しかし、この新しい望遠鏡でみれば下のように微細な構造まで見えます。 宇宙ではなく地上に設置されるので、大気の揺らぎがあるわけですが、補償光学という技術を使ってこの揺らぎを除去し、 高い分解能力を達成することができます(図3参照)。

この望遠鏡を使ってどんな星を見たいですか。 宇宙の果てにある星。遠くをみることは過去を見ることです。宇宙が始まってからおよそ138億年が経過してますが、 この望遠鏡があれば、130億年前の星が見えるでしょう。 つまり、宇宙が誕生してまもないころ、この宇宙に初めて誕生した星や銀河のことが分かるでしょう。 第二の地球が見つかり、地球外の初めての生命発見になるかもしれません。 今後、折に触れてこのコーナーで30メートル望遠鏡のことをお伝えしたいとおもいます。 お楽しみに。


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図3 星から来た光は大きな主鏡で反射し、副鏡に集まってきますが、 そこで二回目の反射をし、さらに第3鏡で反射して、観測装置に到達します。 観測装置の先頭部分に大気の揺らぎを補正する装置が入っています。

references

図1 直径30メートル超巨大望遠鏡の完成予想図(提供:国立天文台)
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/274-fig1.jpg
図2 ハッブル望遠鏡との見え方の比較(提供:国立天文台)
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/274-fig2.jpg
図3 星から来た光は大きな主鏡で反射し、副鏡に集まってきますが、
そこで二回目の反射をし、さらに第3鏡で反射して、観測装置に到達します。
観測装置の先頭部分に大気の揺らぎを補正する装置が入っています。
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/274-fig3.jpg
パワポ
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/274-fig3.pptx