お盆のころの暦

今年は、梅雨が長く、夏になったかどうかの境目がハッキリしないまま、もう立秋もすぎお盆休みになってしまいました。 天文学的にこの季節の暦がどうなっているかここでまとめておきましょう。


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図1 立秋から処暑へ

図1をご覧ください。春分を出発点にして半時計回りに地球が太陽の回りをまわっていると言う図です。 90度まわったところで太陽の高さが最高点に達し夏至となります。さらに45度まわったところが立秋です。 今年は8月7日です。太陽暦は太陽の動きに準拠しているので立秋は8月8日か7日でほぼ固定しています。 気象データをみると8月1日から7日に平均気温が最高になります。 図1で立秋の前の18日間をピンク色に染めてありますが、この部分を夏の土用と呼んでいます。 一番暑くなる時期に一致していますね。 立秋から15度回転したところで「処暑」になります。 処暑とは暑さが止むという意味です。

立秋や処暑は、旧暦で用いてきた二十四節気で定められているものです。 これらは太陽の動き、つまりは気温、季節の変化にあわせた呼び名ですから、太陽暦に属するものです。 このため、二十四節気は現在私たちが使っているカレンダー(グレゴリオ暦)の中で決まった位置に来ます。 二十四節気もグレゴリオ暦も両方とも太陽暦の仲間ということになります。


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図2 旧暦7月

また、旧暦は月の形で日にちを決める太陰暦の考えを使います。つまり、 月が太陽の方向に有って見えない新月の日を 朔(さく)の日といい、この日を「ついたち」にして、次の朔までをひと月にしています。 しかし、月の名は太陽の動き、つまり季節の移り変わりにあわせて決めていて 処暑を含む月を7月とします。今年は8月1日が朔なので、8月7日が旧暦の7月1日になりました(図2参照)。 すると、8月13日が旧暦7月7日で七夕となります。

今年は七夕とお盆がちょうど重なってしまいました。しかし、むかしは旧暦の7月15日を中心としてお盆の行事が 行われていました。なので七夕はお盆の1週間前にあたり、お盆の準備としてお掃除したりする日でもありました。 七夕飾りにでてくるキュウリの馬は祖先の霊を迎えるためのものです。 現在では月遅れと称して、8月15日にお盆休みをとる人が多くなりました。 七夕を旧暦で考えて、お盆休みを月遅れのルールでとると、今年のように 七夕とお盆が一緒にやってるという変なことになります。 もし、七夕を仙台七夕のように月遅れで8月7日にすると、 七夕がお盆の7日前に来るという旧暦のときの関係が保たれます。 分かりやすい話にするつもりがなんだけ面倒なことになってしまいました。 暦がこんなに面倒で、今年の梅雨もこんなに変だったのに、 我が家の庭のぶどうはしっかり季節を感じ、例年通り色づき始めました(図3)。 不思議な自然の力を感じます。


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図3 サルスベリ

references
図1 立秋から処暑へ
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/277-fig1.jpg
図2 旧暦7月
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/277-fig2.jpg
図3 サルスベリ
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/277-fig3.jpg
パワポ
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/277-fig.pptx