おとめ座の神話
人気の星座のひとつにおとめ座があります。
南西の空にいまちょうとよく見えます(図1)。
一等星のスピカとあわせて名前がいいのが人気の理由でしょうか。
フラムスチードの星座図(1776)には図2のように描かれています。

おとめ座には幾つかの神話が伝わっていますので、
以前にこのコーナーでご紹介したのとは違うお話をとりあげましょう。

アストラエアは、その意味が「星の女」で、
星の好きな人にはぜひ心に留めて欲しい女神の名前です。
アストラ(astr)の部分は星を意味します。

ギリシャ神話では古く地上は「金の時代」といわれ、
世の中は平和で、人々は自然の木の実を食べ、なに不自由なく暮らせました。
しかし、銀の時代に入ると、四季の変化が現れ、
人々は汗を流して一生懸命働かないと生きて行けなくなりました。
そして、世の中ではみにくい争いが起こるようになりました。

すると、地上に居た神々は人間に愛想をつかせ、つぎつぎに
地上を去り、天に昇って行きました。
それでも、アストラエアは地上に残り人間に正義を教え続けていました。

次に銅の時代がやってくるといよいよ人間は言うことを聞かなくなり、
悪いことする人間が後をたたず、また戦争が起こったりしました。
ついに、アストラエアもあきらめて天に昇っておとめ座になってしまいました。

おとめ座の隣にあるてんびん座は正義を判定するために使われた
天秤だそうです。

やはり心を改め、おとめ座の星々が地上にもどってきて欲しいですね。
たくさんの乙女とともに平和で、なに不自由なく暮らせる金の時代はもどってこないのでしょうか。






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図1 おとめ座の位置(7月上旬午後8時ころ) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/372-fig1.jpg
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図2 おとめ座(提供:Linda Hall Library) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/372-fig2.jpg
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図3 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/372-fig3.jpg
本文終わり
references 図2の出典 http://lhldigital.lindahall.org/cdm/compoundobject/collection/astro_atlas/id/211/show/152/rec/11 Flamsteed, John, 1776, Atlas celeste de Flamsteed. Paris, Chez F.G. Deschamps [et chez] l'auteur. 提供は Linda Hall Library (以前にも何度かこのコーナーで引用させていただいています。 精度の良い画像は有料ですが、ネットで落とせる今回のサイズでは以前も掲載許可をいただいている 経緯もあり今回はとくに了解をえていません。ホームページに投稿フォームがありメールすると、 提供元の表記があればOKの返事が来ます。 パワポ http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/372-fig.pptx