光のこだま
「こだま」「山びこ」というのは、
山や谷で音が反射して多重に聞こえてくる現象です。
音が空気中で伝わる早さは毎秒300メートルと少しですので、
十分に広い山や谷では反射した音が二、三秒おくれて聞こえてくると「こだま」になります。

光は音に較べて遥かに早く伝わるので、
よほど広い空間を準備しても反射した光が遅れてやってくるのを見つけることはできません。
光は一秒で地球を7周半も回るとよく言われますが、そのとおり光は早いのです。
なので、光の「こだま」、光の「山びこ」は見ることはありません。

ところが宇宙という広い舞台では話は別です。
そして、光のこだまの美しい映像がこのほど公開されたので図1に紹介しましょう。
中心にある星が、光の叫びというか、光のフラッシュを発します。
それが宇宙に広がり、宇宙の雲に当たって反射し、私たちのところに届きます。
それがリング状にみえています。
光のフラッシュは光の早さで進行するので、時間をおいて写真を撮ると、
リングが広がって行くのが見えます。
図1では4回のフラッシュが4つのリングとして見えています。
星の回りにある雲に光が反射しリングを作る様子は図2をご覧ください。

CCDカメラの画角が小さめなので、途中で映像が切れているので連続したリングにはなっていませんので、
ご注意ください。
背景の星は同じ場所の可視光の写真です。

このリングの幅と時間差を利用してこの星までの距離が正確に3万600光年と求められました。
これは従来の推定値1200光年とはずいぶんと違う数字です。
光のこだまの映像は美しいだけでなく、測定が非常に難しい天体までの距離を教えてくれました。


画像をクリック(拡大)

図1 中性子星コンパス座X-1のX線写真(提供:NASA) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/373-fig1.jpg
画像をクリック(拡大)

図2 星から出た光が雲で反射します http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/373-fig2.jpg
本文終わり
references パワポあれば http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/373-fig.pptx