ガンマ線パルサーからの物質放出
時間とともに変化する天体の映像はそれほどたくさんあるわけではありません。
そんななかで最近発表された変化を示す映像を紹介しましょう(図1)。
7千光年かなたの映像です。

図の下の三つのパネルは、左から2011年、2013年、2014年にチャンドラX線望遠鏡で
撮影されたものです。中央の青い色の明るい天体はPSR B1259-63と呼ばれる天体です。
正体はパルサーといって、太陽と同じくらいの質量なのにもかかわらず大きさは10kmくらの
小さい星で、とても高密度の星です。
このパルサーは一秒間に21回も自転していて、太陽の1千億倍の磁場を持ち、
ものすごい力の発電作用があります。
その発電機は、太陽の出すエネルギーの1万倍ものエネルギーを毎秒出しています。

気になるのは右下の光る点で、年ごとの移動していることが写真からわかります。
推定されるこの点の速度は、なんと毎秒2万1千kmです。
いったい何が起こっているのでしょう。

天文学者がいろいろ分析して得た結論が図1の上のパネルの想像図です。

左の白い雲の中に豆粒のように小さいパルサーがいます。
そこからほとんど光の早さで吹き出る風が白く表されています。
これをパルサー風とよんでいます。
右にある大きな球は太陽の30倍もの質量をもつ大きな星で、
この星のまわりをパルサーは3年半くらいの周期で回っています。
中心星の回りに赤い色で描かれた円盤があって、この中にパルサーが突っ込むと
ガンマ線やX線が出ることが観測されています。
そして円盤の一部がパルサー風によって吹き飛ばされると、
今回発見されたような動く発光体となって見えるというわけです。

2011年の観測からまもなく3年半ですので、また新しい火の玉が放出されるかもしれませんね。
たのしみに次の観測を待ちましょう。







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図1 連星パルサーの想像図(上)と観測(下)(提供;NASA) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/381-fig1.jpg
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