セファイド変光星
遠くにある天体までの距離をどうやって知るのですか、という質問をよく受けます。
近くの星までの距離は三角測量の方法で計ることができるので、
もっとも理解しやすいこの方法を説明してお茶を濁してしまうことが多々あります。

実際、この方法で測定できるのはせいぜい数百光年までであり、
宇宙はもっともっと広いので、
三角測量ではとても十分とはいえません。

そこで登場するのが変光星です。
太陽のように星の明るさは一定なのが普通ですが、時に、明るさが変るものが
あり変光星といいます。
図1をご欄ください。今晩8時頃の北の空です。
北極星があり、その上にカシオペア座が見えますのでみつけてみましょう。
カシオペア是の下に将棋の駒のような形をしたケフェウス座があります。
この星座にあるδ(デルタ)星は、星全体が膨らんだり縮んだりして変光します。
周期は5日くらいです。

この種の変光星はセファイド変光星と呼ばれたくさん見つかっています。
三角測量で距離が分かるセファイド変光星の明るさと周期を調べると図2の
ような関係が得られました。
変光するのでここで言う明るさは平均の明るさです。
星の明るさ、つまり、星のワット数と周期にはきれいな関係があったのです。

そこで、
もし新しいセファイド変光星を見つけたら
周期を測定します。
見かけの明るさ(等級)ももちろんこのとき測定されています。
図1からそのセファイド変光星のワット数が分かります。
すると、
このワット数の明るさの星が、見かけ上、
この明るさに見えているのだから、
その星まではこれくらいあるはずだ、という計算ができるのです。

大きな望遠鏡で、遠くの銀河の中にセファイド変光星を見つけ、その周期と、
見かけの明るさからその星、つまり、その銀河までの距離がわかります。
アンドロメダ銀河までは約250万光年とか本に書いてありますが、
それはこんな風にして測定されたのです。

大きな望遠鏡で晴れていれば毎日銀河の写真を撮り続け、変光する星を探すという
地味な観測をいっぱいしなければいけないので、大変な苦労をして
銀河までの距離は測定されているのでした。



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図1 今晩、午後8時頃の北の空 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/393-fig1.jpg
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図2 セファイド変光星の平均の明るさと変光周期との関係 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/393-fig2.jpg
本文終わり
references パワポ http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/393-fig.pptx