銀河中心のブラックボールの磁力線
私たちの住む銀河系の中心には太陽の400万倍もの重さをもつブラックホールがあると
考えられています。
いて座A*
と呼ばれています。
ブラックホールは回りにあるものをなんでもかんでも吸い込んでしまいますが、
間欠的に吸い込まれるものがやってきて、そのときだけ吸い込むようです。

吸い込み口は太陽の直径の20倍程度で、決して大きいわけではありません。
物質は押し合いへし合いしながら吸い込まれるのでそのとき高温になりX線を発生します。
X線望遠鏡でみていると
いて座A*
が間欠的に明るくなります。
図1は銀河中心のX線写真で、
吸い込む前の暗いときと吸い込んだ直後の明るいときを比較しています。

ブラックホールを見ることが出来たとしたら黒い穴のようなものが見えるに違いありません。
これを巨大望遠鏡で見てみようとする計画があります。
「事象の地平望遠鏡」とよばれるその計画のひとつの結果が先週、図2とともに発表されました。
図のなかのシュバルツシルト半径というのがブラックホール半径のことで、
その半径の数十倍のところから来た電場の位置をとらえることに成功しています。
しかも、電波が波だっている方向(専門的には偏波方向と呼ぶもの)とその偏り度合いが
示されています。

この結果を解析した、秋山和徳さん(マサチューセッツ工科大)、本間 希樹さん(国立天文台水沢VLBI観測所)ほか観測チーム
によると、ブラックホールの回りの磁力線がくねくね曲がった蕎麦のようになっている様子が分かるそうです。
銀河中心までの距離は2万5千光年も遥か遠くにある太陽の直径の20倍の大きさのものを見分けるのは至難の業です。
こんかいは、アメリカのカリフォルニアとアリゾナにある二つの電波望遠鏡とハワイにある電波望遠鏡の合計3台の
望遠鏡の信号を重ねて解析しています。
望遠鏡間の最大距離は4千キロメートルあります。
4千キロメートルはなれた場所の数ミリメートの大きさのゴミ探査できる性能です。

まだだれも見たことが無いブラックホールの姿が公開されるまで少しです。






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図1 X線でみた私たちの銀河の中心ブラックホール (提供:NASA) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/396-fig1.jpg
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図2 「事象の地平望遠鏡」でとらえられたブラックホールのすぐそばから得られた電波のマップ。 (提供:国立天文台) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/396-fig2.jpg
本文終わり
references http://www.miz.nao.ac.jp/submilli/content/pr/pr20151204/c01