元旦
年初を迎えるたびに不思議なのはなぜこの日が元旦なのだろうということです。
一年のサイクルはくり返されますから、どの日を年初にするかは自由です。
決めようがありません。

元旦というのは正月の満月の夜に年神を迎えて旧年の平安に感謝し、
今年の豊穣と平和を祈念する日であったそうです。
旧暦は月の満ち欠けで決めていますので正月の満月の日と言えば一月十五日になります。
現在でも一月十五日が小正月としてお祝いの行事があるのはこの名残のようです。
お斎燈焼き(どんと焼き)やだんごさしが行われるのもこのときですね。
旧暦ですので本来は立春後の最初の満月の日になります。
現在の暦ですと2月下旬くらいになります。

年初をどこにもってくるかには二つの派閥があるように私は思います。
これから暖かくなる立春の頃にする派と
弱まった太陽が復活する冬至あたりにもってくる派の二つです。

旧暦では、立春の後にやってくる新月を一月一日にしますので立春派です。
現在の私たちが使っているグレゴリオ暦はずっと元をたどるとローマの暦にさかのぼれますが、
ローマの古い暦ではマルティウス(英語のマーチ、つまり3月)のついたちから
お役所の仕事が始まるのでした。
そして、年末は、ヤヌアリウス(英語のジャニュアリ、つまり1月)と
フェブルアリウス(英語のフェブリュアリー、つまり2月)でした。
従って、4年に一度の閏年に一日を加えるのも年末である2月に行われました。

しかし、紀元前153年にスペインとの戦争の対応の為、ヤヌアリウスの1日から仕事を
はじめることとなったそうです。
これは冬至派が採用されたということでしょうか。

冬至は、太陽がもっとも低くなりこの日からふたたび高度を増す日ですので、
太陽の復活祭として祝われた日です。
これを年初とする考えるのが冬至派です。
この位置にクリスマス(キリストの誕生日)を割り当てて、
(実際は冬至は12月21日か22日、クリスマスは25日です)
7日後の割礼を受けた日を1月1日にすることにしたという説もあります。
しかし、紀元前、つまり、キリスト誕生以前に年初をヤヌアリウスにしたときに既に冬至を過ぎたので年始だとする
考えがあったのでないかと私は想像しています。

新年早々歯切れの悪い話で申し訳ありませんが、こんなに大事な年初の起源はなぞに包まれています。







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図1 だんごさしかどんと際 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/398-fig1.jpg
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図2 一年の循環の中で年初の位置 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/398-fig2.jpg
本文終わり
references パワポ http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/398-fig.pptx