さるの星
今年の干支にちなんで「さる」という名前の星座や星があるといいのですが、
残念ながら私の知る範囲ではありません。
本当は「さる」の星だったのに間違って伝えられてしまったため、
今では「さる」ではなくなった残念な星があるのでその星を見つけることにしましょう。

その星はおおいぬ座にあります。
図1は今晩の午後8時頃の南東の空です。
ひときは明るいシリウスという星が昇って来ています。
これは特に明るい星なので絶対に見つけることができます。
この星のあたりがおおいぬ座です。

この機会に今見えている星座を鑑賞してみましょう。
シリウスの右上の方に、三ツ星が見つかります。
この三ツ星を囲む4つの星がみえて、このあたりが有名なオリオン座です。

三ツ星を囲むオリオンの4つの星の内、北東(左下)方向の赤っぽく見える星をベテルギウスといいます。
ベテルギウスとシリウスを結んで一辺として正三角形を作るような星を探してみましょう。
図1を参考にしてください。
見つかった星が、こいぬ座のプロキオンです。

さて、おおいぬ座を詳しく見ていきましょう(図2参照)。
シリウスを使って小さな三角ができて、これが犬の顔になります。
シリウスから犬の尾の方向、つまり、地平線に向かって線をのばしていくと、
二股に別れるところがあります。
図を参照ください。
別れるところにある星がウェゼン(「おもり」という意味)という星で、
別れた先にアルドラという星とアダラという星があります。
アルドラが乙女という意味で、アダラはアルドラの複数形なので乙女たちという意味になります。
犬の後足はアダラから先に延びてフルド(「輝くひとつ」の意味)という星にいたります。

このフルドですが、実はもとはクルドだったところを間違えて書き写したために、フルドになってしまったらしいのです。
もとの名前のクルドは「猿」という意味なのです。
もし、間違いが無くて、今でも猿の名で呼ばれていれば今年は大事に思ってもらえる星なのにちょっとかわいそうですね。

それにしてもたくさんの星に名前がつけられていて、
それらは大抵はアラビア語で、アラビアの科学の影響はすごいなと思います。
皆さんが知っている、「アルコール」もアラビア語起源ですね。




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図1 1月13日午後8時頃の南東の空 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/399-fig1.jpg
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図2 おおいぬ座の星の名前 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/399-fig2.jpg
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図3 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/399-fig3.jpg
本文終わり
references パワポ http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/399-fig.pptx