蔵王の月うさぎ(ikuyo.ver)
ずう~~っと昔のことだ、
蔵王のお山にな、お猿さんと狐さんと兎さんの3匹が仲良く遊んであったと。
ある日のことだ、麓の方からボロッボロな着物をきたお爺さんがなあ、 (間合い)
今にも倒れそうに、よた、よた、よたよたと、杖ついて上ってきてなあ。
「お猿さんや、狐さんや、兎さんや、わしは喉がカラッカラに渇いてなあ、
どうか水をご馳走して下さらんかなあ」と言ったと。
兎さんとお猿さんと狐さんは「はいよ!」と言って
ガラガラと沢に下りていって、
大きな蕗の葉っぱに冷たい沢水を汲んでご馳走したと。
お爺さんはなあ冷たい沢水をゴク、ゴク、と飲んでなあ、
「あ~うまいなあ、冷たくて美味しいなあ」「これで喉の渇いたのは直ったけれど、
実はわしは昨日から何にも食べ物を食べてないのよお、
何か食べ物をご馳走してくださらんかな」と言ったと。
お猿さんと狐さんと兎さんは「はいよ!」と言ってガラガラと出かけて行ってなあ、
お猿さんは近くの木にスルスルっと登っていって、
美味しい木の実、この実などを採ってきてお爺さんに美味しい木の実をご馳走したと。
狐さんはガラガラと沢に下りていって、ジャッポ、(間)
ジャッポと川に入ってな 美味しい魚を捕まえてお爺さんにご馳走したと。
兎さんはな、あちこちをピョンピョン跳ね回ってなあ、
おじいさんにご馳走する食べ物を探し回った、けれど、
何にも食べるものを見つけることができなかったんだと。
兎はがっかりして空手で戻ってきたんだと

するとな、おじいさんがな
「今なあ、お猿さんからは美味しい木の実をご馳走になった、
狐さんからは美味しい魚をご馳走になった。
ところで兎さん、兎さんはわしに何をご馳走してくれるのかな?」
と言ったと。兎さんは気の毒がってなあ、
「気の毒なお爺さん、私はあっちこっち食べ物を探し回ったんだけれど、
お爺さんにご馳走する食べ物を何も見つけることはできなかったんです」
と言って下を向いてしまったんだと。
しばらくするとな、「お猿さん、枯れ枝を集めて下さいなあ」
お猿さんは「はいよ!」と言って枯れ枝を山のように集めてきたと。
「狐さん、この枯れ枝に火をつけて下さいなあ」枯れ枝はボオ~ッと燃え上がったと。

「気の毒なお爺さん、私はおじいさんに食べ物を何も見つけて上げられなかったから
・・・ssせめて ・・・・ssせめて この私を食べて下さいなあ」
と燃えさかる火の中にパーッと飛び込んだ。
するとたちまちのうちに黒こげになって焼け死んでしまったと。。。
それを見ていたお猿さんと狐さんは、
あまりにもむずこさくって、オイオイと泣いてなあ。。。 
間 ヒョコッとおじいさんを見ると、
何とお爺さんはピカピカと光り輝く立派な神様であったと。
(間間)実はな、おじいさんは神様であったんだと。
神様は燃え盛る火の中に、優しく手を差し入れ、
黒焦げに焼け死んだ兎さんを優しくだきかかえると、、 
不思議や、不思議や、(間)元の真っ白い兎に生き返ったそうな

「お前は何と優しい心の持ち主だろう。
わしと一緒に大勢の神様が住む天に参ろう、
と優しく兎さんを抱きかかえると 
シュルシュルシュルっと天に昇っていってな、
月の宮殿の前にいって「おまえは、この月の宮殿で楽しく暮らすがよい」といったと。
それで兎さんは月の宮殿で楽しく暮らすことになったんだそうだ。

蔵王のお山に、月夜の晩 山の東の方から真ん丸いお月様がでると、
お山のおサルさんや狐さんやカモシカさんや熊さんが、
真ん丸いお月様の中にあの元気な白い兎さんの姿が映し出されるのをみて、
兎さんがペッタンコペッタンコと餅をつく姿をみて
「兎さ~ん、兎さ~ん」と手を振る姿を見ることができるんだそうな」
 とうびん

蔵王に伝わる月とウサギの語りでした。




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図1 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/3x-fig1.jpg
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図2 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/3x-fig2.jpg
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図3 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/3x-fig3.jpg
本文終わり
references パワポ http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/3x-fig.pptx