うみへび座
はくちょう座やさそり座のように、星空を見て、確かに白鳥やサソリの形に見える星座は希で、
大抵の星座は、とても名前が指すような形が描けないのが普通です。
私の心の中で、そのような形を描けない星座のひとつだった「うみへび座」が、
突如、本当にウミヘビに見えたのでその話を書きたくなりました。
人口の光の少ない星がよく見えるところに行って星を見てみませんか。
4月の8時頃、南の空をみると見事な蛇の姿を見つけることができます(図1)。

図1を見ながらまず見つけて欲しいのがうみへびの頭の部分です。
図1よりも実際の星空の方がよりはっきりとへびの頭に見えます。
次に長い胴体が続きますが、途中に、蛇の心臓にあたるアルファルドという2等星が目につくとおもいます。

この星座の起源は古いらしく、
ムル・アピンという紀元前千年頃に書かれたという粘土板にも「へび」という名前で登録されています。
うみへび座は古代メソポタミアの遺産です。
また、紀元前50年ころの星座を描いた「デンデラのハトホル神殿」の天体図
(砂岩にえがかれたレリーフ)には図2のように、
良く見ると、ライオンの下に蛇が描かれています。

あらためて夜空を見上げてみましょう(図1)。
南の空高く、ギラギラと輝く木星がすぐに見つけられます。
そして、その上にはしし座が見えています。
すると、しし座の下にまさしくうみへび座がながく伸びているではありませんか。
図2のライオンの下の蛇と対応していることがわかります。
さらによく観察すると、実際の星空とデンデラの天体図との両方に共通して、
うみへびの上にかに座、うみへびのしっぽにからす座があることがわかります。

3千年前の昔のひとも現代のわたしたちもきっとおなじ星の並びをみていたのだなと実感できます。
この間、人類はいったい何をして来たのだろうという感慨がわいて来ます。
ぜひ、みなさんも、春の星空をご覧下さい。





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図1 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/412-fig1.jpg
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図2 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/412-fig2.jpg
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図3 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/412-fig3.jpg
本文終わり
references パワポ http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/412-fig.pptx