二重星
星空案内で最も人気のある天体のなかに二重星があります。
二つの星がきれいに並んでいて,
見た印象は、たとえば色の違うダイヤモンド、普通のダイヤとピンクダイヤを二つ並べて対照させたネックレスといった面持ちです。
ダイヤとエメラルドとかルビーとサファイアとか、二つの星の色や明るさに色々なパターンがあるので、
楽しめます。
望遠鏡や双眼鏡で見ます。
望遠鏡は敷居が高いので公開天文台などで見せてもらうことにして、
双眼鏡はスポーツ観戦や野鳥観察などを
兼ねてひとつ自分のものを持っているのもいいですね。

まずは、道具を使わず肉眼で挑戦です。
今の季節ですと一晩中、北斗七星が見えています(図1)。
ひしゃくの形の柄の先から二番目の星に注目します。
ミザールという星です。
そのすぐ横に4等星のアルコルという星が並んでいて、肉眼で楽しめる二重星です。
二つの星の隔たりは、満月の直径の3分の1ほどですからおそらくみなさんが楽しめると思います。
ただし、アルコルは4等星ですので、街中で空が明るくて4等星が見えない状況では見えません。
人口の光の少ないところに移動して見ましょう。
日本ではこのアルコルをシジュウグレ(四十暮れ)と言ったそうで,四十歳を越えると段々見えなくなるということのようです。
私も試してみなければ。

ミザールを望遠鏡で見ると、ミザールAとミザールBに分離して見えます。
また、二重星がありましたね(図2)。
この二つの星は互いに、約2万年の周期で回り合っていて、こういうものを特に連星と呼びます。
ミザールAのスペクトルを調べると、これがまた連星になっていることが分かっています。
公転周期は約20日です。
このように多重に二重星になっていることも珍しくはありません。


ミザールすぐ近くにコルカロリという星がありますが,これも二重星で、
双眼鏡を使うと, 白とすみれ色の並んだ星がみえます。
図2では、ミザールの左側のピンクで囲った星です。
りょうけん座という星座にあります。

今夜は、図2のような夜空が見えていますが,
一等星の麦星と真珠星はセットにして考えて、日本では夫婦星と呼ばれます。
これも心を広くもてば二重星と言えるかもしれませんね。
夜も更けてくると、織姫星や火星が昇って来ます。











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図1 5月18日午後8時ころの夜空(ステラリウムを用いて作図) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/417-fig1.jpg
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図2 アルコルとミザール http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/417-fig2.jpg
本文終わり
references Mizar ζ UMa RA:13h23m55.5 Dec:+54°55′31.26 (J2000) mv=2.27 d=85.8ly Alcor 80 UMa RA:13h25m13.5 Dec:+54°59′16.65 (J2000) mv=4.0 d=81.68ly 両者の核距離は 417.fにて計算 11.8arcmin 満月の40%近い Mizar B 伴星 mv=4.0 Da=14.4 arcsec T=約2万年 Mizar A は分光連星 T=20.5day コルカロリ 主星(薄黄)2.9等 伴星(スミレ)5.5等 パワポ http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/417-fig.pptx