宇宙と生命
宇宙の話題というのは、日常生活の中で活性を失っていく脳を活性化させます。

私を活性化してくれた話題のひとつは,火星に生命がいたことを示す南極で見つかった隕石のことです(図1)。
最初は何のことかさっぱり分からなかったのですが,こんなお話しのようです。

45億年くらいにできた火星の岩石が何らかの衝撃で(おそらく隕石の落下で)、火星を飛び出した。
これが1600万年前。長い間、宇宙空間をさまよった末、1万3000年くらい前に南極に落下したというのです。
その石の中に原始的な生物がみつかり、それが火星で発生した生物だと言うことです。

地球上の生命は地球で自然発生したというのが普通の見方ですが,
生命のもとになる物質は宇宙からやって来たという考えもあります。
宇宙空間のガスの成分は水素が多いのですが,炭素、酸素、窒素なども次に多い成分で、
そこから合成される二酸化炭素、酢酸、エタノールなどの物質も宇宙空間に漂っていることが分かっています。
宇宙は寒いのでそれらは氷の粒になっていて、粒の芯にあるのは岩石質のものです。
地上でなくても、宇宙空間でも有機物の生成が行われていることが分かっています。
すると生命の起源になる物質が地上でなくても宇宙空間でもいいような気もして来ます。
しかし,アミノ酸はまだ宇宙で見つかっていません。

そこでまたおもしろいことがあります。
カップラーメンはそのままでは食には適しませんが、
お湯をジャーと注ぐと美味しいラーメンになります。
これとすこし似た現象で、「アミノ酸前駆体」というのが宇宙で作られ、それが隕石に運ばれて原始の地球に落ちてきて、
原始の海にジューととけ込んで、そこで本物のアミノ酸になるという現象です。

宇宙空間に模した状況を実験室に作り、
そこで「アミノ酸前駆体」を作ることに成功したそうです。
ここで、化学反応のためにエネルギー源が必要なのですが、
それは宇宙空間を飛び交っている宇宙線や紫外線が役に立ちます。

本当のことは今後の研究に期待ですが,私としては、本当のことを知るよりは、
どれだけいろいろな新しい発想が出来るかということに非常に興味があります。
私自身の研究でもちょっと妄想かもしれないけど、
可能性はゼロでないので調べてみようということがあります。
このような発想のゆとりが新しい研究には必要だと感じます。






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図1 火星から飛来したと考えられ、生命体のようにみえるものが指摘された隕石ALH84001 (提供:NASA) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/419-fig1.jpg
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図2 生命の起源になる物質が宇宙で作られて地球に持ち込まれるという説もある http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/419-fig2.jpg
本文終わり
references パワポ http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/419-fig.pptx