万物の根源
お盆がすぎ、間もなく、お月見やお彼岸など秋がやってくるなと思うと、
なぜか、万物の根源は何なんだろうなどと考えてしまいます。

日本文化には、陰陽五行説が大きな影響をもっています。
まず、万物にはまず陰と陽があると言います。
女性と男性があったり、楽しさの影に悲しみがあったりします。
これは自然科学でも成り立っていて、物質にたいして反物質というのがあることが
理論的も実験的にも分かっています。
日常使っている電気は、電子という粒子の流れです。
電子は負の電荷をもっていますが、電子とそっくりで正の電荷を持った陽電子と呼ばれる粒子もあります。
電子と陽電子が、物質に対する反物質の関係です。
電子と陽電子が出会うと消滅して二つの光になります。

五行説の方は万物は木火土金水の5元素からなりたっているとする考えです。
いろいろなものを共通の性質を持ったものの集まりとして整理していくと、
究極的にこの5要素になると昔の人が考えたのでしょう。
惑星も同じように分類されそれぞれの性質をもっていると考えたので、惑星の名前が、
木星、火星、土星、金星、水星なりました(図1)。
英語のジュピター、マース、サターン、ビーナス、マーキュリーの翻訳ではありません。

五行説は中国が起源のようですが,インドでは、
空風火水地が5元素です。
これを表しているのが五輪塔です。
この順序に上から5つの形が積まれ、土台の方形が地に対応します。
写真は山形市にある専称寺の駒姫の墓にあるものです(図2)。

物質は原子で構成され、もっと詳しく見るとクォークがあって、などと理科の教科書にはありますが、
このような物質は宇宙全体の数パーセントに過ぎないことが現代科学の成果としてわかっています。
残りは4分の1程度をダークマターと呼び、残りをダークエネルギーと呼びます。
ダークという名前のついたものは分からないものという印で、
ダークマターもダークエネルギーも正体不明です。
こんな不確かな世界に生きているのですが、
不確かなことがあったほうがもしかしたら幸せなのかもしれません。

秋の夜長には、楽しみと悲しみのような二元論のほうが似合うような気がしてきました。




画像をクリック(拡大)

図1 五元素にもとづく惑星の名前(画像提供 NASA) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/432-fig1.jpg
画像をクリック(拡大)

図2 五輪塔 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/432-fig2.jpg
本文終わり
references パワポ http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/432-fig.pptx