西の空の星々
定時退社日を決めている職場もあるそうですが,今日の日没は山形市で午後5時5分、
県内なら前後1、2分ですのでどなたも日没後の夕焼けをみながら退勤できているでしょうか。
帰る頃は真っ暗というのは寂しいです(私はいつもこのパターンです)。

今日この頃(10月中旬)、午後5時45分ころ西の空を観察してみましょう。
絶妙の星の配置を楽しめます。
図1のようです。

日没から40分もたっていますから太陽は西の地面の下の方です(見えません)。
左上に向かって,金星、土星、火星がきれいに並んでいます。
特に、金星を見つけるためにはこの時間に見る必要があります。
6時を過ぎたら金星は沈んで見えなくなってしまいます。
ここで、太陽-金星-土星-火星のラインを黄道ラインと呼ぶことにします。

北西方向には、北斗七星が図のように柄杓の形がきれいにみえています。
フライパンを横から見たようです。
柄杓の柄をのばした先に麦星(西洋の名は、アークトゥルス)が見えます。
この北斗七星の柄を延ばして麦星につながるラインは春の大曲線と読んでいます。
実はこの線を地平線下に延長するとおとめ座のスピカがあります。

二つの大きな線、黄道ラインと春の大曲線には大きな違いが二つあります。
まず、距離です。
光で行けば、
黄道ラインの太陽と他の惑星たちへは
一時間半以内に到着可能です。
これらの星はとても近くにある星なのです。
一方、春の大曲線の星たちは光で行くと、最も近い麦星で約40年、最も遠いスピカでは約350年もかかります。
むちゃくちゃ遠いのです。

さて、もうひとつの違いはこれから百万年後の運命です。
どちらの線が存在し、どちらの線が崩壊しているでしょう。
非常に遠くの星はとても長い距離を移動しないとその動きは顕著にならないので、
春の大曲線はなかなか崩れないような気がします。
しかし、宇宙の星々は空間で運動しています。千年くらいではその動きは気づきませんが,
百万年もすれば星座の形も崩れ,春の大曲線も崩壊しています。
一方、黄道ラインは太陽と惑星の引力で結ばれた安定した軌道運動をしているのでとても長生きです。
おそらく、百万年くらいでは軌道面は崩れることはないでしょう。
なので、黄道ラインはずっと長生きで、春の大曲線は短命なのです。




画像をクリック(拡大)

図1 2016年10月12日午後5時45分頃の西の空 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/438-fig1.jpg
本文終わり
references