SKA
蔵王温泉にたくさんの天文学者があつまり、
「日本SKA合同サイエンス会議」が開催されたということで、
今日は蔵王温泉で書いています。

会議の名前に出てくるSKAというのは何なのでしょうか、
主催者を代表して、鹿児島大学大学院理工学研究科特任准教授の赤堀卓也さんに伺いました。

SKAは大陸望遠鏡の異名をもつ電波望遠鏡群で、
国際プロジェクトとして現在着々と準備がすすんでいます。
SKAは英語で平方キロメートルの面積をもつ電波望遠鏡群を意味することばです。
電波を受信する総面積がそれくらい大きいものであることを象徴しています。
たくさんのアンテナを配置するので、
アンテナが展開する総面積はもちろんさらに広いものです(図1)。

宇宙からやってくる微弱な電波を捉える電波望遠鏡なのですが,
受信する電波の周波数は皆さんがおなじみの携帯電話や電子レンジに
使われている電波と同じくらいです。

今後、
このコーナーでも建設の進行にあわせて仕組みやどんな観測をするのかを紹介していきたいと思います。

さて、赤堀さんはこの望遠鏡を使って何を知りたいと思っているのでしょうか。

宇宙の構造、構成要素などは相対性理論や素粒子理論と宇宙の大局的な観測から
かなり精密に計算されています。
たとえば宇宙に存在する原子核などの物質(正確にはバリオンと呼ばれる複合粒子の種類)の
総量も計算されているのですが、
それでは本当にそれだけの量が宇宙に存在するのかと問われると、
宇宙にある星の数、ガスの総量など様々な形で存在する原子などの物質量を全部足しても
予測とあわないのだそうです。
専門家はこれをミッシングバリオン問題と呼んでいて、大問題です。
赤堀さんの夢はSKAを使ってこの問題を解決すること。
もし、解決できれば宇宙の物質の分布がはっきりすることになりますし,
万一、本当にバリオンが足りないということになれば、宇宙の理論を見直しという大事件となります。
かなかな緊張感の高い問題ですね。

真剣な会議のあとも、
SKAに託すたくさんの夢と現実の課題の話は尽きないようでした
(図2)。





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図1 SKA完成予想図(提供:https://www.skatelescope.org/ SKA organization) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/441-fig1.jpg
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図2 赤堀卓也さん(鹿児島大学大学院・理工学研究科)(写真右端) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/441-fig2.jpg
本文終わり
references パワポ http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/441-fig.pptx