1987Aの30周年
1987年、マゼラン雲に起こったある星の超新星爆発から30年、
爆発の跡は一体どうなったのでしょうか。
図1がその姿です。

星が超新星爆発を起こして飛び散った跡は超新星残骸と呼ばれ、
たくさん見つかっていますが、みな爆発から千年から1万年も経過したものです。
どれも私たちの銀河系の中にあるものです。

遠くの銀河に起こる超新星爆発は毎年何個も見つけられています。
しかし、それはずっと遠くに起こっているので超新星残骸の姿はみることが
できません。

つまり、
実際の爆発から超新星残骸の形成までを見とどけたものは誰もいないのです。
超新星爆発という始まりと超新星残骸という結果の二つはあるのですが、
両者をつなげているのは理論的な確信だけです。

その意味では図1のSN1987Aとよばれる超新星爆発の30年後の姿は貴重です。
真珠のネックレスのようで綺麗ですね。

爆発を起こす前の恒星は巨星とよばれるぶよぶよ太った星です。
ぶよぶよした表面のガスは恒星風という流れになって星の周りに広がってリング
構造を作っているようです。
爆発する前の巨星のまわりのガスの様子は暗くて見えないのでじつは爆発しない
かぎり巨星の周りがどうなっているかを知ることは困難です。
ところがいったん、爆発してピカリと光るとその光に照らされてリングが見えてきます。
そして現在は爆風が広がって、リングと衝突しその結果この真珠のリングが形成
されました。

図2が説明図です。
爆発直後、光でリングが照らされて見えてきます。
同時に超新星の爆発の爆風が広がり始めますが、リングには到達していません。
そして、現在、爆風がリングにぶつかってさらにリングを光らせたり、
つぶつぶにリングが切られてしまいました。

リングの中央の爆発後の星がどうなったかというところがとても気になりますが、
まだよくわかっていません。
分かるまでに百年とかかかるんでしょうか。
私が生きている間には知ることができない気がします。





参考文献462-paper.pdf
Indebetouw, R. et al, 2014, ApJ, 782, L2; arXiv:1312:4086



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図1 今年の1987Aリング http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/462-fig1.jpg
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図2 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/462-fig2.jpg
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図3 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/462-fig3.jpg
本文終わり
パワポ http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/462-fig.pptx references will be note-462