地球の上で
地球を一周が4mの風船で表現してみましょう。
なぜ4mかというと、地球の一周がちょうど4万キロメートルなので縮尺がわかりやすいのです。
1万kmを1mに縮尺したことになります。計算が簡単です。
この地球風船は直径が1.3メートルほどんほどになります。
これほどの大きさの地球儀は普通ありませんね。
地上で生活していて地球が球体であることはまず感じることがありませんが、
これくらい地球儀を大きくすると地球の大きさを感じるには充分な大きさです(図1)。

私たちは地上で生きていますが、呼吸をするために空気が必要です。
空気は地表にあって高度1万メートルくらいのまで存在します。

1万キロメートルを1メートルに縮尺した地球風船では、大気の高さはいくらに縮尺されているでしょう。
図1の地球風船で大気の高さはなんと1ミリメートルになってしまいます。
風船の表面からわずか1ミリメートルの厚さにある大気を吸って私たちは生きているのです。
なんと薄っぺらで頼りないものでしょう。


海の水は大量にあります。海の平均の深さは平均約4千メートルだそうです。
すると、風船の地球にたとえると0.4ミリメートルの厚さの水です。
風船を濡れた雑巾で拭いたときにできる風船表面の水の膜のようなもです。

太陽のエネルギーがちょっとでも増加したら海の水も大気も無くなってしまうでしょう。

宇宙から見た地上の大気や水がとても薄っぺらなものであるということを、
地球風船を使って、もう何十回も講演をしてきました。

ところが、先日のことです。
夕焼け空を見ていて(図2)、
あの厚さ1ミリメートルの大気がこの空なのかと変に実感をもって理解されました。
空の景色が薄っぺらな大気として感じられた瞬間でした。
すると、次に見えてくるのは地表に這いつくばってもぞもぞと生きている人間の姿でした。
もう何十回となく地球風船のモデルを作ってきて、突然こんな発想が浮かんできたのでした。

後に残ったのは、
薄っぺらな地表で人間が争いながら生きている寂しさのようなものでした。




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図1 風船を膨らませた地球のモデル http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/484-fig1.jpg
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図2 夕焼けの空に1ミリメートルの空気の層を感じます。 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/484-fig2.jpg
本文終わり
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