アンドロメダの岩
今日10月4日は中秋の名月です。
お月見の団子などいかがでしょう。
落ち着いた夕暮れの時間をお楽しみください。

日本文化からいきなり飛んでギリシア文化のお話です。
星座の起源をたどると古くは古代メソポタミアにさかのぼります。
場所としては現在のイラクあたりになります。

しかし、秋の星座はちょっと雰囲気がちがいます。
有名なアンドロメダ座の星座神話では、アンドロメダ姫が生贄として海岸の岩に縛り付けられ、
大波や化けくじらが登場します。
どう考えてもイラクの砂漠地帯のイメージとは繋がらず、地中海の雰囲気です。

メソポタミアの粘土板「ムルアピン」と呼ばれる星表にたくさんの星座が出てきますが、
そこには、アンドロメダやその両親のケフェウス、カシオペヤ、アンドロメダを助けるペルセウス、
などはありません。

ギリシア文化で残された星表に「ファイナメナ」といのがあります。
紀元前366年にエウドクソスによって著されたもので、
そこには上記のアンドロメダの物語に出てくる星座やいるか座というこれも海の匂いのする星座が含まれています。

面白いことにこの「ファイナメナ」にはムルアピンにあるメソポタミアの星座も含まれています。
しかも、詳しい分析によると
ファイナメに記載されたデータはギリシアで測定されたものではなく、
紀元前1100年頃にメソポタミアで観測されたデータをもとに記載されているそうです(図1)。

ここで想像力をたくましくすると、
メソポタミアの星座が、地球海で貿易する民族の手によってギリシアに伝えられて、ギリシアの星表「ファイナメナ」になり、
その時にメソポタミア起源の星座だけでなく地中海の人々の星座と混じたのではないでしょうか。
私たちはこのように混じった起源を持つ星座を使っているようです。

何かの機会にイスラエルに観光されることがあれば、
図2のようにアンドロメダ姫が繋がれたという岩がテルアビブ近郊のヤッファという町にあるので見たいものです。
グーグルマップで見ることができるのですが、
本物をみたければ、まずは、平和が欲しいですね。



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図1 メソポタミアとギリシアの星表 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/487-fig1.jpg
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図2 アンドメダの岩 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/487-fig2.jpg 定められたようにgoogleのクレジットをお願いします。 念のため原本のパワポファイルは以下です。 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/487-fig.pptx
本文終わり
パワポ http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/487-fig.pptx references will be note-487