星座の間で星の取り合い
星の名前のつけ方には星座名とその星座内の順位を表す記号を組み合わせる法があります。
記号にはギリシア語のアルファベットのa,b,c,d,...に相当する、
α(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)、δ(デルタ)、、を使います。
図1(左)のように、アンドロメダ座α星、アンドロメダ座β星などと名前が付いています。
図1(右)はペガスス座の星の名前を示しています。
ペガススは背中に翼のある天を翔ける馬、天馬のことです。
見つけやすい星の並びとして有名な「秋の四辺形」が
ペガスス座のα星、β星、γ星、δ星で作られていることがわかりますね。

ペガスス座δ星のアラビア語の名前はアルフェラッツで馬のおへそという意味です。
さて、実際の空を表した図2をご覧ください。
昔、星座がたくさん作られて混乱した時代がありました。
それを解決するために88の星座とその境界線が定まりました。
この結果すべての星がかならず何かの星座に属することになりました。
図2には赤い線で星座の境界線を示しています。

図をみると馬のおへそのアルフェラッツのところで星座の境界線が折れ曲り、
この星はアンドロメダ座に属することになっています。
そのため、この星の名前はアンドロメダ座α星が正式な名称になります。
結果、ペガスス座δ星は存在しない星になってしまいました。

一つの星をペガススのおへそとアンドロメダの頭と、
二つの星座で共用していたのですが、星座の境界を定めるとき、
天文学者は共用を許さないことにしました。
馬のおへそより、アンドロメダ姫の頭のほうが格が上ということでしょうか、
星座境界線をググッと曲げてこの星をアンドロメダ座に入れることにしました。
「へ〜、そうか」などと冗談を言わないでくださいね。
この星は、馬のへそから姫様の頭に昇格したので大喜びでしょう。

星がよく見えるところに行くと、天馬ペガススの前足や頭もしっかりその形に見えます。
アンドロメダ姫も頭、胸、腰、足と姿が想像できます。
機会がありましたら水蒸気の少ない秋晴れの夜空をお楽しみください。




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図1 アンドロメダ座とペガスス座の絵(イラスト:菊地美咲) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/492-fig1.jpg
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図2 星座境界線 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/492-fig2.jpg
本文終わり
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