万物は気体に
昔、理科の先生に「すべてのものは熱していくといつかは気体になる」、と教わりました。
水は加熱すると気体の水蒸気になり確かにそうですが、
すべての物体がなならず気体になるというのはすぐには承服しがたくこの先生を疑ったものです。

図1の様に高温に向かって固体、液体、気体と変化することが知られています。
岩石を熱するとやがて溶けて、溶岩になります。
火山の噴火で実際に見ることができます。
金属も鉄の溶鉱炉の様に液体状態を知っています。
さらに熱すると、岩石は岩石気体、鉄は鉄気体になります。
岩石気体は誰も体験したこと無いと思いますが、
金属の気体は金属メッキをするとき工業的には扱っていて珍しいものではありません。

それでも疑問に残るのは、ごはんとかの食べ物、動植物の体などは熱しても液体にはならず、
ゴケて黒い塊になってしまいます。
これでは気体にならないでは無いかと思うのですが、このゴケをさらに加熱すると蒸発して気体になってしまします。

気体は物質を構成している分子や原子がばらばらに散らばって飛び回っている状態です。

地球や火星、木星、などの惑星を加熱することができたらやっぱり気体になってしまいます。
そのときの気体の成分は宇宙を満たしている気体の成分と同じであることがわかっています。
この気体のことを私は「宇宙の空気」と呼んでいて、この呼び方が好きでよく使います。
でも、どの天文学の本にもこの用語は出てきませんので注意していください。

太陽の様な星の周りにある宇宙の空気が冷えていくと、小さな氷や石が結晶し、それが集まってチリになり、
チリが集まって惑星ができています。
太陽に一番近い恒星は4光年とすこし離れたプロキシマケンタウリという星ですが、
スペインの天文学者アングレダさんたちのチームがアルマ望遠鏡でプロキシマケンタウリの周りを調べた
結果が図2にまとめられています。
星の周りには惑星やチリのリングがあったそうです。
これも宇宙の空気が冷えて凝縮してできたんですね。

図は分かりやすくするために縮尺はただしくありません。距離はプロキシマケンタウリからの距離で
単位はauです。auは地球と太陽の間の距離1億5千万kmです。




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図1 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/493-fig1.jpg
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図2 プロキシマケンタウリの周辺の様子(提供:ESO/ALMA; eso1735 — Science Release) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/493-fig2.jpg
本文終わり
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