第二の地球探し
宇宙のどこかに地球と同じような惑星を見つけようという人間の欲望はすごく強いようです。
まるでどこかに運命の恋人がいることを信じて探し続ける若者の様です。

太陽のような恒星の周りに地球のような惑星が回っているとします。
図1に示すように、
惑星の公転に合わせて恒星もわずかなら運動します。
この運動の大きさは重さの比できまりますから、
例えば地球の重さは太陽の約百万分の1なので、
地球の公転によって現れる太陽の運動はたった毎秒10センチメートルくらいです。

恒星がわずかながらも運動すれば、
恒星が発する光の波長に影響します。
それを手がかりに、惑星の存在を探知することができます。
しかし、光の波長への影響は、恒星の運動の速さと光の速さの比くらいしか現れません。
なにせ、光の速さは毎秒30万kmとものすごいので、恒星からの光の波長のズレは
もともとの波長の百億分の1程度です。
このズレを恒星の光に見出さないと第二の地球は見つからないのです。

先日、ヨーロッパ南天天文台に設置されてたエスプレッソという素敵な名前のついた
分光器は、恒星が毎秒数センチメートルの運動をしてもそれを検知できるそうです。

分光器というのはプリズムのように光を波長ごとに分けて測定する装置です。
普通のプリズムでは能力不足なので、
エスプレッソではエシェル分光とう特殊な技術を使います。
プリズムではなく回折格子という素子を使います。
それも二段階方式で、まず、第一弾で荒く虹色に分け、別れた光をさらに能力の高い
回折格子で分解します。
図2はそうやって虹色にわけた光を一気に見ることができる様にした画像です。

細い縦縞(左が赤い色の光、右が青緑の光)の一本一本のなかに、よく見ると水平に黒い筋がいっぱい見えますが、
これが原子による特別の光の信号で、
この水平線の上下への移動として恒星の運動がわかります。

この装置で第二の地球を見つけたというニュースを待つことにしましょう。




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図1 惑星が1,2,3と動くと、恒星もそれに合わせて1,2,3と動きます。 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/497-fig1.jpg
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図2 エスプレッソによって分光された星の光(提供:ヨーロッパ南天天文台) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/497-fig2.jpg
本文終わり
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