おおぐま座の秘密
北斗七星を含む大きな星座である「おおぐま座」(図1)には不思議なことがたくさんあります。
本物のクマとは違って、しっぽが異常に長いのも謎の一つです。

十二星座をはじめとして古い歴史のある星座はメソポタミア地方を起源とするものがいくつか知られていますが、
このおおぐま座はメソポタミアの古い文献には出てきません。
メソポタミアでは北斗七星の部分は荷車座になっています。
時代がだいぶ下って、ギリシャ神話にはおおぐま座が登場します。

おもしろいことに、
北斗七星のひしゃく型のコの字型の部分をクマに見立て、
柄の部分の三つの星がクマを追いかける3人の人だとする話が、
ギリシャだけでなくシベリアなど多くの地域で残っています。
それだけでなく、この話は北米の多くの部族でも見られます。
もしかしたら、アフリカで生まれた人類が中東、ヨーロッパ、アジアに
広がったころからおおぐま座はすでに存在し、人類が北アメリカに移動したときに、
おおぐま座も伝わっていたのでないかという説もあります。
この考えが正しいとすると、
おおぐま座の起源は石器時代にさかのぼることになります。

クマは冬は冬眠していて人の目に触れません。
春になると出てきてそれを人が追いかけ、やがて秋になり、冬になってまたクマは姿を消します。
おおぐま座の動きはまさしくそれと同じでです。
日が暮れたころの時刻のおおぐま座の地面からの高さを調べ、
また、山形県におけるクマの出没件数を調べて両方をグラフにしてみました。
クマの出没件数は環境庁による調査で平成24年から昨年までの平均値です。
図2をご覧ください。
おおぐま座の高さとクマの出没件数は見事に一致すではないですか。
おおぐま座が高く昇って見やすい頃にクマがたくさん現れるのです。
こうしてみると、人類がクマとともに暮らしていた石器時代から
おおぐま話はあったのでないかという気がしてきます。






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図1 おおぐま座 (提供 Linda Hall Libray 出典:Jamieson, Alexander, 1822, A Celestial atlas.) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/518-fig1.jpg
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図2 クマの出没件数(棒グラフ)とおおぐま座の高度(曲線) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/518-fig2.jpg
本文終わり
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