宇宙最初の星はいつ生まれた
宇宙が誕生したころ、最初は水素を主成分とするガスがありましたが、
その後、初めて星や銀河が生まれ、暗黒の宇宙が星の光で明るくなりました。
天文学者は、その最初に宇宙に明かりが灯されたのはいつなのを必死に研究しています。

このコーナー星空案内No.516で、まったく感覚的に、科学的ではなく、
宇宙が誕生してから5億年くらいで最初の星や銀河が誕生したんじゃないでしょうかと私は書きました。
今の宇宙を人間の50歳くらいに相当すると考えるなら、
「三つ子の魂、百まで」というので、3歳に相当する5億年くらいに宇宙に魂が入った、つまり、
最初の星や銀河ができたのでないかと考えたのでした。

最新のアルマ望遠鏡による成果が5月14日に発表され図1が公開されました。
図の赤いぼやっとしたものが現在人類が知るもっとも古い、言い換えると宇宙誕生直後の銀河です。
橋本拓哉さん(大阪産業大学)らのチームが最近発見したものです。
この銀河MACS1149-JD1はちょうど今よく見える方向にあります。
図2は今日午後8時頃の夜空ですが、ピンクの+印のある位置、ちょうどしし座のあたりにこの銀河はあります。
この銀河から来る光の中に酸素原子による光が混ざっていました。
しかもその原子の光はもともとの光よりも波長が10.1倍長くなっていました。
このことはこの銀河が宇宙誕生から約5億年ほどしか経っていない時期のものであることを示しています。

酸素原子があるということは重大な意味があります。
宇宙誕生からいくらかの時が経ち、もともとあった水素からまず星が形成されます。
その星の中で原子核融合によって水素から酸素が作られ、
最後に超新星爆発を起こして作られた酸素を周りの空間に撒き散らします。
その酸素が見えたのです。
すると最初の星は5億年よりさらに時間を遡り、宇宙誕生から2億年とか3億年の時期に作られたと考えられます。

もしかしたら、人間の一生と宇宙を比較する比喩でいうと、立つことができる1歳くらいが、最初の星の誕生かもしれませんね。
もしかしたら、首がすわるころでしょうか。



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図1 知られている中で酸素が存在するもっとも古い銀河MACS1149-JD1 (提供:ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/519-fig1.jpg
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図2 今晩午後8時頃の夜空 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/519-fig2.jpg
本文終わり
パワポ http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/519-fig.pptx references will be note-519