太陽の高さとエネルギー

太陽の光のエネルギーは強烈です。太陽の観測中には、
望遠鏡の黒い部分は熱くてもうとても素手ではさわれな
くなっています。ふりそそぐエネルギーは太陽の高さと
密接に結び付いています。お彼岸もすぎ太陽の高さは以
前ほど高くありません。徐々に秋が忍び寄っています。
むかしの人は夏の太陽は勢いが強く元気があり、冬の太陽
は衰えて元気が無くなると考えました。冬至の日は、太
陽が最も衰える日ですが、同時に元気を取り戻す日と考
えて、冬至祭りは復活祭の意味がありました。

しかし、よく考えてみると太陽自身はいつも同じように
エネルギーを出して輝いている、つまり、恒常的にエネ
ルギーを発散している星です。なので、一年周期の放射
エネルギーの増加減少は起こりません。ならば、季節変
化はなぜ起こるのでしょう。

この問題は、太陽の高さ、つまり、地面に対して頭上から 
(垂直)に光が落ちてくるのか、光が地面に対して斜めに
当たるのか、その角度のことを考えると解決します。図1
の上をみると太陽が地面に垂直に光を落としています。
まったく同じ強さの光が地面に斜めに当たっているのが
図1の下の図です。よく見ると、地面の塗った部分に入
ってくる光線の数が上は6本ですが、下は4本しかありま
せん。きまった面積に降り注ぐ光線の数(光の量)が斜
め入射の時に減少することがわかります。なので、地面
の面積あたりの受けるエネルギーは斜めほど少なくなり、
地面でもらうエネルギーが減るので、気温も下がってし
まうわけです。もし、頭上からの光と地面から30度で入
射する光をくらべると受けるエネルギーは半分になりま
す。この差は絶大で、気温が摂氏27であるとすると、受
けるエネルギーが半分になると単純計算で期待される気
温は摂氏マイナス20度になってしまいます。実際は、北
半球で太陽の高さが低くなって、光が斜めになってくる
と、南半球では太陽はより高く昇りますから、地球全体
としては受けるエネルギーには変わりなく風が吹いて温
度を混ぜますから、これほどの激しい温度差は起こりま
せん。それでもこの影響はありますから、まもなく北半
球では冬がやってきますが、南半球はまもなく夏がやっ
てきます。

その熱い太陽から来る水素原子の光で撮った太陽の写真
を図2にみなさまに残暑お見舞としてお贈りします。



図1 太陽の高さの違いによる光の量の変化をみてください。
光が斜めに入ると受けるエネルギーは面積あたりでは小さ
なものになります。
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shiata/yamashin/53-fig1.ppt
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shiata/yamashin/53-fig1.jpg

図2  やまがた天文台(山形市小白川町山形大学理学部)で撮影した太陽。
水素原子からやってくる特殊な光で撮影した。下の方にプロミネンスと呼ばれる
水素ガスの雲のようなものが見える。
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shiata/yamashin/53-fig2.jpg


-------------------------------------------------
捕捉(未掲載)