はやぶさの距離感
はやぶさ2のニュースに感動しながら書いています。
図1は探査機はやぶさ2が小惑星リュウグウの表面にタッチし、サンプルを採集して、
上昇中に眼下の景色を撮影したものだそうです。
宇宙の広さを知っているだけにあの小さなターゲットに着地できた素晴らしさに驚きです。

この機会に宇宙の広さを復習しておきたいと思います。
太陽の周りを地球が公転し、その外側に火星が公転しています。
これらの公転軌道が今回のリュウグウやはやぶさの運動する領域になります(図2)。
太陽と地球の間の距離は約15兆センチメートル、
太陽と火星の間の距離は約23兆センチメートルです。
一方、はやぶさがリュウグウに降下する速さは毎秒1センチメートル。
目標地への制御は270センチメートル以内で行われるそうです。
12桁ほどの精度で測定と制御がされています。
いかに遠い距離の小さな的を狙うかがわかると思います。

も少し違う見方をしましょう。
天文学では光の速度の普遍性を利用して距離を時間で表します。
光で行ったときどれくらい時間がかかるかを考えます。
たとえば、太陽と地球間の距離は約8分20秒と換算されます。
表(図3)に距離と時間の換算をまとめました。

電波も光と同じ速度で飛びますので、
はやぶさとの通信は片道で数分から10分くらいかかることが想像できます。
映像を見ながらはやぶさ2の操作はできません。
ぶつかりそうだからと言って命令を出しても数分はそのまま進んでしまいます。
計算し尽くした制御と最終的には自律的にロボットとして動かないと着陸できません。

一方、日常生活で使っている1センチメートルは、
時間に換算すると1000億分の3秒になります。
日常的には光は一瞬で情報を伝えますから事故なく自動車を運転できます。

いずれにせよ、はやぶさ2の飛行精度は素晴らしいものですね。

表をみながら別のことを思い起こしました。
来年度の日本の予算は約99兆円ですが、私たちは消費税など毎日一円や十円単位で考えていますので、
お金勘定の精度もややぶさに負けていませんね。




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図1 はやぶさ2のタッチダウン直後の映像(提供 JAXA) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/558-fig1.jpg
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図2 惑星と小惑星リュウグウとやはぶさ2の軌道 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/558-fig2.jpg
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図3 長さの比較 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/558-fig3.jpg
本文終わり
パワポ http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/558-fig.pptx references will be note-558