岩橋善兵衛
大阪府貝塚市にある善兵衛ランド(博物館と天文台を兼ねた施設)には江戸時代に日本で作られた天体望遠鏡があります
(図1)。
岩橋善兵衛と言う人が作ったものです。
星のソムリエの全国シンポジウムが大阪で開催され、そこで実物を見てきました。
星のソムリエは山形で誕生し全国に広まった星空案内の資格の名前です。

一閑張(いっかんばり)望遠鏡といって、紙を巻き漆で仕上げる方法で筒ができています。
非常に軽く、4段または5段式の伸び縮みする構造になっていて、持ち運びに便利です。

世界初の望遠鏡は誰が作ったのかわかりませんが、
最初の記録は1608年にオランダの議会に望遠鏡の特許申請です。
瞬く間にヨーロッパにこのことが伝わり、
1609年の夏にはパリでスパイグラスとして販売されました。
同じ年にガリレオ・ガリレイも自作して天体観測を開始しました。
日本への伝来は、
1613年にイギリスの東インド会社のジョン・セーリスという人が徳川家康に献上したという記録があるそうです。
江戸時代の中期には京、大坂では有料で望遠鏡をのぞかせる商売がありました。

現代はグローバル化してどんな技術もあっという間に世界に広がるといいますが、
四百年前でもその速さは現代に負けていませんね。

岩橋善兵衛は1756年、貝塚脇浜新町で生まれ、
1811年になくなるまでにたくさんの望遠鏡を作成しました(図2)。
当時としては非常に性能の良い望遠鏡だったそうです。
家業のメガネ職人をしながら、天文学や物理学を学びました。
日本のガリレオとでも呼べる科学者です。

善兵衛が最初に望遠鏡を作ったのは1793年ですが、
ちょうどその頃、ロシアが北海道に接近し、
日本では北海道の地図製作が始まっています。
こんな時代背景もあって、日本地図づくりをした伊能忠敬のための望遠鏡をいくつも善兵衛は作っています。

もし関西方面に旅行に行くことがあったらぜひ貝塚市の善兵衛ランドにお立ち寄りください。
ランドという名前がついていますが、
温泉や絶叫マシンはないのでお間違えなく。






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図1 岩崎善兵衛作の天体望遠鏡(提供:善兵衛ランド, https://www.city.kaizuka.lg.jp/zenbe/) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/560-fig1.jpg
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図2 岩崎善兵衛(提供:善兵衛ランド, https://www.city.kaizuka.lg.jp/zenbe/) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/560-fig2.jpg
本文終わり
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